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2030年に実現するかもしれない「6G」とは?

レンテックインサイト編集部

IT Insight 2030年に実現するかもしれない「6G」とは?

2022年現在、5Gが徐々に普及し始めていますが、すでにその次の世代である「6G」の研究開発も行われています。6Gは2030年頃のサービス実現が目指されており、そう遠い未来の話ではありません。

本記事では、今のうちに知っておきたい6Gに関する情報をご紹介します。

6Gとは?

6Gは「第6世代移動通信システム」のことであり、現在普及が進んでいる5Gの次の世代にあたるものです。日本では2020年3月に5Gの商用サービスが提供開始されましたが、その前から6Gの実現に向けた研究開発が世界中でスタートしていました。

例えば、2020年1月には、NTTドコモが「ドコモ6Gホワイトペーパー」の初版を公開し、2022年3月現在は第4.0版まで公開されています。日本では「5Gの次」という意味合いから「Beyond 5G」といった表現もよくされていますが、これも基本的には6Gと同義です。

NTTグループ以外の企業や研究機関も続々と6G関連の研究結果を発表しており、現時点では2030年のサービス実現が目指されている状況です。今後、約10年をかけて5Gをより進化させつつ、6Gへの移行が進んでいくと考えられます。

6Gで目指すべき要求条件

6Gに関する国際的な基準がまだ存在していないため、現時点ではどういった技術になるかが明確にはなっていません。しかし、6Gの実現に取り組んでいる各企業がコンセプトとして公開している情報から、6Gのおおまかな内容を知ることはできます。

本項では、NTTドコモが公開している「ドコモ6Gホワイトペーパー」の中で述べられている、6Gで目指す通信技術の要求条件を要約してお伝えします。

1.超高速・大容量通信

最大100Gbpsを超える超高速通信や、100倍以上の超大容量通信を実現する

2.超低遅延

E2E(End to End)で1ms以下の超低遅延通信を、常時安定した状態で実現する

3.超高信頼通信

特に産業向けでの幅広いユースケースにおいて、通信のセキュリティと安全性を高め、信頼度99.99999%の通信品質を実現する

4.超カバレッジ拡張

陸だけでなく、空・海・宇宙などあらゆる場所での移動通信サービスを実現する

5.超低消費電力・低コスト化

持続可能な社会を実現するために、移動通信システムにおけるネットワークや端末の消費電力とコストを大幅に低減させる

6.超多接続&センシング

平方km当たり1,000万デバイスという究極の多接続や、高精度な測位およびセンシングを実現する

「※ドコモ6Gホワイトペーパー」より引用。

5Gの特長は「高速大容量」「超低遅延」「多数端末同時接続」ですが、6Gにおける「超高速・大容量通信」「超低遅延」「超多接続&センシング」は5Gをより進化させたものといえるでしょう。

残りの「超高信頼通信」「超カバレッジ拡張」「超低消費電力・低コスト化」に関しては、5Gにはなかった新しい特長であり、6Gの大きな可能性を感じさせてくれます。これら6つの要求条件が本当に実現すれば、まさしく次世代の移動通信システムといえるものとなるでしょう。

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6Gによって変わること

では、6Gによって私たちの社会がどのように変わると考えられているのでしょうか。

例えば、NTTドコモは6Gによる「人間拡張」技術の開発に取り組んでいます。「人間拡張」技術は、脳や身体の情報をネットワークに接続することで、人間の感覚を拡張させるというものです。6Gの「超高速・大容量通信」によって、ネットワークの通信速度は人間の神経の反応速度を上回るレベルに達します。それにより、スキルの共有や感情・五感の共有、テレパシー・テレキネシスといったことが実現できると考えられています。

また、6Gの「超低遅延」は、5Gと同等以上の低遅延を常時安定させるというものです。これにより、無線通信によるタイムラグが限りなくゼロに近づくため、AIが遠隔制御するロボットや機器の動作がより人間に近づくと考えられています。あるいは、人間以上の機敏な動きや繊細な受け答えができるようになるのかもしれません。その結果、店舗の無人化や工場の無人稼働など、あらゆるシーンでの自動化が進んでいくでしょう。車の完全無人運転も、6Gの時代には一般的に普及しているかもしれません。

また、6Gの「超カバレッジ拡張」によってあらゆる場所で移動通信サービスを受けられるようになれば、ドローンによる無人配送の高度化や、農業・林業・水産業などの無人化ができるかもしれないと期待されています。「超カバレッジ拡張」は5Gにはなかった新たな特長であることから、空飛ぶ車や宇宙旅行といった全く新しい用途が広がっていくかもしれません。

6Gを見据えながら、5Gの導入・活用を進めていきましょう

すでに6Gの研究開発が進められており、具体的な要求条件も定まりつつあります。2030年頃のサービス実現に向けて、これからも通信事業者や研究機関からの情報発信が行われていくでしょう。目先の5Gだけではなく、その先の6Gに関しても情報収集をしていきたいところです。

また、6Gは全く新しい技術ではなく、あくまでも5Gの延長線上にあります。企業は6Gが実現した未来を見据えつつ、まずは5Gの導入・活用を進めていくと良いでしょう。

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