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DX時代に重要なCIOの役割とは? CDOとの違い、活用のポイントも解説

レンテックインサイト編集部

IT Insight DX時代に重要なCIOの役割とは? CDOとの違い、活用のポイントも解説

皆さんは、CIOというポジションをご存じですか? CIOは情報システム構築・運営やDXにおいて中心的な役割を果たしますが、2022年現在、設置されている企業は多くなく、どのような役割なのか、十分に認知されているとは言えない状況です。

本記事では、CIOとは何なのか、IT部門長やCDOとの違いは何かなどについて取り上げ、そのイメージやメリットを分かりやすくご紹介します。

CIOの役割を定義する「三つの役職」とは?

内閣官房のIT総合戦略室により運営されていた「政府CIOポータル」では、以下の三つの役職すべてがCIOという役職の例として記述されています

  • Chief Intelligence Officer(最高知能責任者)
  • Chief Innovation Officer(最高イノベーション責任者)
  • Chief Information Officer(最高情報責任者)

また上記の三つと区別して「IT部門長」として定義されているのが以下の役職です。

  • Chief Information System Officer(最高情報システム責任者)

本定義では、「CIO」と「IT部門長」は区別されており、その違いは「既存の情報システムのガバナンス・保全に努めるか、情報戦略を経営のスコープ(範囲)にまで広げて考えるか」にあります。

CIOの三つの役割のミッション「情報活用による経営戦略の創造」「全社横断のビジネス変革」「ITガバナンス確立」はいずれも経営のスコープからIT戦略を練るという視点に基づいています。
この中でも、経営部門・IT部門長の両側面を持つ「Chief Information Officer(最高情報責任者)」が特に、CIOとされることが多くなっています。

日本のCIO設置率はまだまだ低い CIOとCDOの違いは?

日本でCIOが専任の役割として置かれている例はまだまだ少なく、平成30年版情報通信白書|出典:(総務省)によると、日本のCIO設置率は11.2%・検討中が8.2%と両者を合わせても20%に達しません。米国では設置済みが36.2%・検討中が15.8%、英国では設置済みが44.4%・検討中が21.6%、ドイツでは設置済みが35.6%・検討中が24.0%と、調査対象の欧米各国と比べても日本のCIO設置率の低さは目立ちます。

同調査ではCDO(Chief Digital Officer:最高デジタル責任者)についても調査が行われており、そちらも日本では設置済みが5.0%、検討中が8.4%なのに対し、米国では設置済みが16.8%、検討中が16.4%、英国では設置済みが27.4%、検討中が28.2%、ドイツでは設置済みが16.4%、検討中が26.4%となっています。

CIOとCDOが並べて語られる場合、既存の情報システムの最適化やITセキュリティなどに対して責任を持つのがCIO、新規の提案などDXにより攻めの改革を遂行するのがCDOと言われることが多いです。しかし、先に述べた3種の役職からもわかる通り、CIOにも「攻め」のIT改革を推進する役割が期待される場合もあります。

CIO、CDOが実際にどのような業務に携わるべきかは企業によって玉虫色であり、CIO・CDOという役割の定義に合わせて最初から枠を設けてしまうのではなく、“わが社のCIO・CDOに求められる役割は〇〇”と、自社の状況に合わせてそのポジションを定期的に定義しなおすのがベターでしょう。

ただし、最初から求められる役割が100%定義できることはまれであり、CIO・CDOといったポジションを設けることで企業のITガバナンスやDXの定着を促進する面もあります。役割に合わせてポジションを形作るべきというアドバイスと一見矛盾するようですが、持っていただきたいのはシステム開発方式におけるアジャイル開発(詳しくはコチラ)のように、再定義を繰り返すことでスピード感と役割の意義を両立させるイメージです。

CIOを専任の役割として設けることが推奨される理由

CIOの重要性は理解できても、適した人材がすぐに見つかる企業は多くありません。外部から調達するという手段もありますが、既存のシステム部門長をCIOとして再定義する、あるいは経営陣から選出するという企業が多いでしょう。
どの場合も、CIOを核としたIT施策推進チームのデザインに取り組むことが求められます。全くの新組織が立ち上げられる場合もありますが、それほど規模の大きくない企業の場合はまずは募集あるいは選出されたメンバーにより仮想的なチームが作られることが多いでしょう。

ほかの業務がある中でチームが形骸化しないために問われるのが、CIOの手腕です。ここで、CIO自身がほかの業務に追われほとんどCIOとしての時間が取れないということになれば、プロジェクトが上手く進むことは考えられません。
そのため、CIOを専任の役割として設けることが推奨されるのです。リソースの不足といったやむをえない事情により他業務との兼任となる場合も、CIOとしての工数を定義し、また意思決定を迅速化するために不可欠な権限を与えることがプラスに働くはずです。

ぜひ、CIOというポジションはIT施策推進組織の要として重要であるという前提から、その必要工数や権限について考えてみてください。

大切なのは“CIOの役割が企業の目的とマッチすること”

DXやサイバーセキュリティの重要性が叫ばれる中で、存在感を増すCIOの役割について解説してまいりました。
経営・ITや、自社の事業内容など幅広い分野の知識とマネジメント能力が求められるCIOですが、重要なのは“全てを完璧にできる”ことではなく、IT施策推進チーム、ひいては企業全体の目的に即した施策を実施するということです。
アジャイルにアップデートしつづけることを前提に、CIOを核としたチームの構築に取り組んでみてください。

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