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2022年1月に「IIFES2022」がリアルとオンラインの両方で開催されました。「IIFES2022」は、電機・計測産業を核とする産業界の最先端技術・情報が集うオートメーションと計測の先端技術総合展です。リアル展示会だけでなく、オンライン展示会も同時開催されたことで、コロナ禍ではありますが多くの企業が出展しました。
本記事では、「IIFES2022」のオンライン展示会に出展されていた注目技術をまとめてご紹介します。
制御機器や電子部品などを製造しているオムロン株式会社は、「人を超える自働化ライン」と題したソリューションを出展していました。
同社の保有する統合制御・センシング技術・AIをすり合わせて、人を超える自働化を実現し、次の三つの価値を提供するといいます。
製造業各社は長らく作業の機械化・自働化に取り組んできましたが、人と同じ技術レベルを再現できなかったり、何かのきっかけで停止してしまったりと課題が残っていました。しかし、オムロンの展示を見ていると、近い将来には人と同等かそれ以上のレベルでの機械化・自働化が普及するのではないかと期待できます。
スズデン株式会社は、「もの造りサポーティングカンパニー」としてFA機器・電子デバイス・電設資材などを扱う商社です。「IIFES2022」では、オムロン社の協調ロボットと、MENOU社の画像AI開発ソフトウエア「MENOU-TE」を組み合わせたAI外観検査ソリューションを出展していました。
「MENOU-TE」は、写真を見て検出したい箇所を塗りつぶすといった簡単な作業でAIを開発できます。専門知識を持つエンジニアでなくても利用できるノーコードツールであり、外注に出さずに自社内でさまざまなAIを開発していくことが可能です。また、AIによる推論だけでなく、ルールベースの判断を組み合わせることで、人が行っている複雑な検査の自動化を実現しています。
以前から外観検査にAIを活用する動きはありましたが、開発にかかるコストや開発できる人材の確保が課題となっていました。しかし、「MENOU-TE」のようにAIをノーコードで開発できるソフトウエアが普及すれば、AIを導入できる企業も増えていくと考えられます。
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FA機器や関連システムを製造しているIDEC株式会社は、置くだけで設備・装置をIoT化できるクラウドIoTソリューションを出展していました。
クラウドIoTシステムを構築するためには、ゲートウェイ、LTEルーター、LTE回線、クラウドインフラ、クラウドアプリケーションといったさまざまな要素が必要です。システムを構築する難易度が高く、コストもかかるため、IoTを気軽に導入できないという課題がありました。
IDECでは、クラウドIoTシステムの構築に必要な要素を一つのパッケージに詰め込んだ製品を提供しています。データを収集したいPLCに専用の機器を接続し、簡単な設定をするだけで、クラウド上にデータが集約されます。集約されたデータはクラウド上のダッシュボードで確認でき、異常発生時にはメールでの通知も可能です。
このように簡単にIoTを導入できるソリューションが増えれば、今までIoTを活用できていなかった中小企業などにもIoTが普及していくと考えられます。
分析・計測機器の総合メーカーである株式会社堀場製作所は、次世代エネルギーとして注目されている水素に関連する分析・計測ソリューションを出展していました。
枯渇することがなく、燃焼させても二酸化炭素が発生しない水素は、日本での2050年カーボンニュートラルの実現に向けて本格的な活用が進みつつあります。しかし、水素の生産・貯蔵・消費を効率良く行うためにはまだまだ課題が残っており、研究開発や現場での分析・計測が求められている状況です。
堀場製作所は、水素の純度をはかる水素分析計や、水素中の不純物をはかるガス分析計、水素脆化による漏洩事故などを防止するための材料分析装置など、水素を安全かつ効率的に活用する上で欠かせない技術を提供しています。これから水素社会が到来することになれば、これらの分析機器がさらに普及していくことでしょう。
コロナ禍の開催であったため、リアル展示会の来場者は前回に比べて減ってしまったものの、「IIFES2022」は注目技術が盛りだくさんでした。
WEBマーケティングが発達した現在であっても、展示会は最先端技術や情報が集う貴重な場であることは間違いありません。オートメーションと計測技術の動向を知りたいという方は、ぜひ次回の開催時に参加してみることをお勧めします。