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製造業に求められる「BCP」の策定手順6ステップ

レンテックインサイト編集部

IT Insight 製造業に求められる「BCP」の策定手順6ステップ

新型コロナウイルスの世界的流行により、より必要性が意識されるようになったBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)。貴社ではすでに策定できているでしょうか。
本記事では、BCPを取り巻くマクロな状況を総覧した上で、BCP策定の6ステップについて解説します。

BCPとはそもそも何なのか、またその必要性について詳しくはコチラの記事をご覧ください。

BCPの策定状況、大企業と中堅企業に大きな差が……製造業の策定率は?

まずはBCPの策定状況について見ていきましょう。
令和2年3月、内閣府防災担当によって発表された『令和元年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査(内閣府)』によると、「BCP策定済み」の企業は大企業で約7割(68.4%)、中堅企業で3割強(34.4%)。企業規模によって、BCPの策定状況に大きな差異があることが分かります。

一方、「BCP策定中」あるいは「策定を予定している(検討中を含む)」という企業は大企業で27.5%(15.0%+12.5%)、中堅企業で40.8%(18.5%+22.3%)でした。大企業の後を追うようにBCP策定に取り組み始めている中堅企業が増加しているということでしょう。

なお、この場合の大企業は「資本金10億円以上かつ常用雇用者数50人超等」と定義されています。

業種別のデータにも目を向けてみましょう。
令和元年度の製造業のBCP策定率は45.1%。平成19年度の調査では11.3%でしたから、大幅に割合が増加したといえます。とはいえ、業種別の割合を見ると、製造業は決して他業界をリードしているわけではなく、「金融・保険業(69.2%)」や「情報通信業(57.6%)」に水をあけられている状況です。

BCP策定率が低い業種を見ると「宿泊業・飲食サービス業(11.4%)」、「小売業(28.7%)」などコロナ禍の影響を大きく受けた業界が多く、あらゆる事態を想定してBCPを策定しておくことの重要性が伝わります。

BCP策定の「6ステップ」

それでは、具体的なBCP策定のステップに話を進めましょう。
以下をご覧ください。

1.「基本方針」と「事業継続マネジメント(BCM)実施体制」を構築する
2-1.「事業影響度」「優先的に継続(復旧)すべき重要業務」「目標復旧レベル」を洗い出す
2-2. リスク分析・評価を実施する
3.「重要業務の実施に不可欠な経営資源」と「ボトルネック」を見極める
4. 具体的な「事業継続戦略」と「対策」を検討する
5. これまでに検討した内容を踏まえ「BCP」を策定する。この際、合わせて「事前対策の実施計画」「教育・訓練の実施計画」「見直し・改善の実施計画」も策定する。
6. BCPの内容・実施方法などを定期的に見直し、改善に努める

以上が内閣府の発行する『事業継続ガイドライン(令和3年4月)(内閣府)』に基づいて作成した「BCP」策定の6ステップ(並行して行う「2-1」「2-2」を含めれば7ステップ)です。

同ガイドラインにおいて、BCPはBCM(Business Continuity Management:事業継続マネジメント)の一環として定義されています。BCMとは、BCPの策定を含む企業の事業継続に向けた活動全般を指す概念です。
有効なBCPを策定し、また作成後、宝の持ち腐れとしないためには、その先にあるBCMという目的を見据えることが不可欠です。

そのため、BCMを経営課題と捉え、“自社の提供価値”なども明らかにしながら、専任の責任者、事務局を構築し全社的なプロジェクトとして取り組むことが求められます。
その基盤が整った後に、個別のインシデントを評価できるようになるのです。その際には、自社の“内”にある重要業務と、“外”にあるリスクの両方をヌケモレなく評価し、それぞれについて影響度や目標復旧時間・目標復旧レベル、ボトルネック(事業の継続や復旧においてクリアできなければ先へ進めなくなってしまうポイント)を洗い出しましょう。

BCPが力を発揮するのはインシデント発生時ですが、いつどのような形で非常事態が訪れるかは分からないため、日頃から体制を整えておくことは欠かせません。だからこそ、「事前対策の実施計画」「教育・訓練の実施計画」「見直し・改善の実施計画」も必要になってくるというわけです。
BCP自体も年に1回以上は見直し、事業の継続・復旧力を維持する仕組みがある“強い”企業を作りましょう。

完璧を目指さず、まずは全体像を作りきる意識も重要

BCPの策定において基本方針から丁寧に積み上げ具体的な対策まで昇華させることは必要不可欠です。しかし、そのために議論が紛糾し、BCPの策定が進まないというケースも避けたいところ。
ステップ1の時点で設けたBCP策定の期限は厳守すべきです。ステップ6で見直し・改善を行うことが決められているように、BCPは企業のコア事業や規模の変遷に合わせて変化していくものでもあります。完璧を目指さず、まず作りきる意識も大切にしてください。

ガイドライン・モデル例を参考に策定を進めよう

BCPの策定の手順について6ステップにまとめてお伝えいたしました。
本記事で取り扱った『事業継続ガイドライン』のほかに『事業継続計画(BCP)の文書構成モデル例(内閣府)』なども参考にしつつ、BCPの策定を進めていきましょう!

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