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ここ数年でスマートフォンやタブレットを利用した決済方法が次々と登場し、急激に普及しています。 新しい決済方法はどのような仕組みで運営されているのでしょうか。また、これらによって社会はどのように変わるのでしょうか。
小さな店舗で、タブレットやスマートフォン(以下スマホ)に小さなカードリーダを取り付けて、クレジットカード決済をしている場面を見たことはないでしょうか。
それは、もしかしたらSquareを利用しているのかもしれません。
SquareはTwitterの創業者であるジャック・ドーシー氏が開発したカード決済システムです。日本には2013年5月に上陸しました。日本でもCoineyという同様のシステムが開発されました。
またLINEの利用者なら、LINE Payをご存知でしょう。LINEのインターフェースで決済や送金ができるサービスです。買い物はもちろん、LINEの友達同士で簡単に割り勘ができるなど便利な機能もあります。
他にも、2018年12月に100億円還元キャンペーンを実施して話題になったPayPayをご存知かもしれません。
店舗の機械に表示された二次元バーコードを自分のスマホで読み取る、もしくは自分のスマホに表示されたバーコードを店舗のリーダーで読み取ると決済が完了するというとても簡便な決済サービスです。
以前は決済方法といえば、現金、クレジットカード、電子マネーなどでしたが、ここ数年でスマホやタブレット等を利用した決済方法が次々と登場しています。
これらの新しい決済方法は、二次元コード、スマホアプリ、タッチパネル、ICカードなどで、今後も増えてくるかもしれません。
ただこれらの最終的な決済方法はクレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、銀行引き落としなどになります。
実はこのように、最終的な決済方法は従来と変わらないのですが、決済に使えるツールが増えたことで、利用者にとっても事業者にとってもさまざまなメリットが生まれています。
まず利用者のメリットを見ていきましょう。
まず一つ目のメリットは、現金を多く持たなくても良いことです。
お札や小銭を持ち歩き、減ってきたらATMで現金を下ろす作業がなくなるため、お財布も軽くなります。
二つ目のメリットは、支払い時の手間の減少です。
財布を取り出し、お金を支払い、お釣りを受け取る。これらの作業が、次世代決済であれば、カードの提示や、スマートフォンを利用した簡単な操作のみで決済が完了します。
屋台や見本市などでも簡単に支払いをすることができます。
三つ目のメリットは、スマホ一台あれば、さまざまな決済方法が選択できることです。アプリをインストールするだけでさまざまな決済サービスを使えるようになります。
「おサイフケータイ」ではFeliCaチップが必要でしたが、二次元バーコードやバーコードを読み取るタイプのサービスではFeliCaチップが不要なため、どんなスマホでも使えるメリットがあります。
では事業者のメリットはどうでしょうか。
例えば小さな店舗でもクレジットカードの導入の敷居が以前より低くなりました。 クレジットカード以外でも二次元バーコードで決済できるサービスに加盟するなど、新たな決済手段を以前よりも簡単に導入できるようになるため、より多くのお客様に対してサービスを提供することができるようになります。 決済方法の拡充は、顧客満足度や購入率の向上にもつながり、結果として売上向上につながることでしょう。
このように次世代決済サービスには利用者にとっても事業者にとってもさまざまなメリットがあるため、今後市場は拡大の一途にあると考えられます。 すると次は、次世代決済サービスのプラットフォームの覇権を巡る競争が激化することになるでしょう。
次世代決済プラットフォームとは、さまざまなキャッシュレス決済機能が利用したり、決済データをマーケティングなどに利用したい企業に提供したりするための基盤と仕組みです。
決済データが多ければ多いほど、そのプラットフォームの価値が高まるため、多くの企業がさまざまな工夫を凝らしてくることになるでしょう。
そのため、それぞれ高い専門性を持つ企業が、金融や流通、通信、ITなど業界の垣根を越えて連携し、次世代決済プラットフォームの構築のためのグループを既に形成しつつあります。
例えば三井住友フィナンシャルグループとGMOペイメントゲートウェイ、三菱UFJフィナンシャルグループと米アカマイ・テクノロジーズとの連携などがその先駆けといえます。
現在は決済実現のための連携ですが、それを基盤にどれだけ有力なパートナーを集めるかの戦いとなっていくのです。