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半導体の基板となるシリコンウエハーの動向

レンテックインサイト編集部

IT Insight 半導体の基板となるシリコンウエハーの動向

画像素材:Adobe Stock

シリコンウエハーは、半導体の製造に欠かせない材料の一つです。半導体の基板となるシリコンウエハーの動向は、半導体業界だけでなく私たちの生活にも大きく影響します。

本記事では、シリコンウエハーの概要や製造工程の解説に加えて、最新動向をご紹介します。

シリコンウエハーとは

シリコンウエハーは、その名の通り原料にシリコンを用いたウエハーです。ウエハーとは半導体材料を薄い円盤状に加工した板のことであり、ウエハーに対して成膜、露光、現像、エッチングといった加工を繰り返すと、半導体の回路パターンが形成されます。ウエハーは半導体の基板となる材料であり、半導体を製造する上でなくてはならない存在です。

ウエハーの原料として使われる素材はいくつかありますが、最もシェアが高いのがシリコンです。現状、ほとんどの半導体ではシリコンウエハーが基板として採用されています。スマートフォンやパソコン、自動車、家電製品といった私たちの身の回りにある電子機器は半導体の働きによって動いているため、シリコンウエハーは私たちの生活を陰ながら支えてくれているといえます。

シリコンウエハーの製造工程

ここでは、珪石がシリコンウエハーになるまでのおおまかな製造工程を見ていきましょう。

シリコンウエハーは厚さ1mm以下の極めて平坦な板であり、珪石という鉱物から作られています。シリコンウエハーの出来栄えが半導体自体の性能と品質に直結するため、シリコンウエハーのメーカーには高度な技術や品質管理が求められます。

1.シリコンインゴットの製造

珪石を精錬・精製して作られる極めて高純度の多結晶シリコンを溶解し、結晶化させると、単結晶インゴットと呼ばれるシリコン製のインゴットになります。シリコンウエハーに不純物が含まれると半導体の性能が悪化するため、シリコンの純度は99.999999999%にまで高められています。

2.スライシング

シリコンインゴットの直径が均一になるように外周を削った後に、厚さ1mm以下にスライスして切り出していきます。

3.ラッピング(粗研磨)

切り出したウエハーの両面を研磨して厚みを整えます。スライシングした段階ではまだ厚みにばらつきがありますが、ラッピングによって均一になります。

4.エッチング

スライシングやラッピングによって発生した歪みや表面の残留物などを、薬液を使って除去していきます。エッチング工程を経ると、ウエハーの表面が滑らかになります。

5.ポリッシング(研磨)

ラッピング工程よりも微細な砥粒や研磨液などを使って、ウエハーの表面を鏡面状態になるまで研磨します。ウエハーの表面が極めて平坦でなければ半導体の歩留まりや性能が悪化するため、ポリッシング後にさらに加工が施される場合もあります。

6.洗浄

ウエハーを洗浄・乾燥して、ここまでの工程で付いた汚れや異物を取り除きます。

7.検査

クリーンルーム内でウエハーの厚みや平坦度、清浄度をくまなく検査します。また、抵抗率などの材料特性の測定も実施し、問題がなければ梱包・出荷されて半導体メーカーのもとに届けられます。

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シリコンウエハーの最新動向

ここでは、シリコンウエハーに関する最新動向を三つの観点からご紹介します。

あらゆるモノがインターネットにつながるIoTの時代が到来したことで、半導体の需要は年々高まっています。それはつまり、半導体の製造に欠かせないシリコンウエハーの需要も高まっているということです。半導体業界の動向を知る上では、シリコンウエハーの動向についても理解しておく必要があるといえるでしょう。

大口径化の状況

シリコンウエハーの動向を語る上で欠かせないのが、大口径化の状況です。半導体の製造工程では、シリコンウエハー1枚から半導体が1個作られるのではありません。サイズにもよりますが、シリコンウエハー1枚の上で数百個から数千個もの半導体が同時に作られています。1枚のシリコンウエハーで作れる半導体の数が多くなればそれだけ製造コストを削減できるため、シリコンウエハーのサイズは直径150mm、200mm、300mmと大口径化が進んできました。

2010年頃までは、さらなる大口径化を目指して450mmシリコンウエハーの実用化に向けた研究開発が行われていました。しかし、半導体製造技術が追随できなかったことや、製造装置の入れ替えに莫大な設備投資が必要なことがネックとなり、2022年現在では大口径化は進んでいません。

将来的には450mmへの移行が進む可能性もありますが、当面は300mmでの品質安定や供給量増加に取り組んでいくことになると考えられます。

供給不足が進行

国際的な業界団体であるSEMIが2021年10月に公表したレポートによると、2021年の半導体向けシリコンウエハーの出荷面積は過去最高の約140億平方インチとなる見込みであり、2024年までは旺盛な成長が続くと予想されています。

しかし、高まり続ける需要に対して、シリコンウエハーメーカーの供給能力が追いついておらず、一部の製品は2023年に1割ほど不足するという予測もあります。2021年の秋に、日本のシリコンウエハーメーカーである信越化学工業とSUMCOが供給能力の増強に着手することを相次いで発表しました。しかし、供給能力の増強には大規模な設備投資が必要であり、工場が安定稼働するには時間もかかります。両社ともに本格的な増産は2024年以降となる計画であり、今後しばらくはシリコンウエハーの供給不足が進行すると考えられます。

各メーカーのシェア争いが加速

2020年のシリコンウエハーの世界シェアでは、上述した信越化学工業が1位、SUMCOが2位となっており、この2社で50%以上を占めていました。

しかし、2021年には世界シェア3位である台湾企業のグローバルウエハーズがドイツ企業のシルトロニックを買収し、シェアを拡大させてSUMCOを抜くことになりました。

信越化学工業とSUMCOのシェア自体は大きく変わっていないため、シリコンウエハーの市場では依然として日本メーカーの存在感が強い状況ではあります。しかし、グローバルウエハーズをはじめとする海外メーカーの動向次第ではさらにシェア争いが加速する可能性があるため、注目しておきたいところです。

シリコンウエハーの動向が半導体業界を大きく左右する

半導体製造に欠かせないシリコンウエハーの動向は、半導体業界全体に大きく影響します。実際に、すでに深刻化している半導体不足がシリコンウエハーの供給状況次第でさらに悪化する可能性があり、あらゆるビジネスが影響を受けるかもしれません。シリコンウエハーの供給動向や技術開発に注目していきましょう。

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