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顕微鏡の種類と特徴

レンテックインサイト編集部

IT Insight 顕微鏡の種類と特徴

顕微鏡は、製造業の研究開発や品質確認において欠かせない検査機器です。一般的に顕微鏡というと光学顕微鏡を指しますが、その他にもさまざまな種類があり、用途に応じて使い分ける必要があります。

本記事では、基礎知識として知っておきたい顕微鏡の種類と特徴をまとめて解説します。

光学顕微鏡

光学顕微鏡では、測定対象物に光を照射し、レンズを通して作られる拡大像を観察します。レンズは対物レンズと接眼レンズを組み合わせるのが一般的で、対物レンズによって拡大された像を接眼レンズでさらに拡大して観察するという仕組みです。そのため、対物レンズと接眼レンズの倍率を掛け合わせた数値が、光学顕微鏡の倍率となります。

光学顕微鏡は教育用としても活用されているため、私たちにとって最もなじみのある顕微鏡だといえます。操作が簡単ですぐに測定対象物を観察できることに加え、小型で持ち運びができる機種が多いため、製造業では現場での抜き取り検査や外観検査によく使われています。価格も比較的安価なため、複数台保有している企業も多いです。

また、製造業では測定顕微鏡もよく使われています。測定顕微鏡は、光学顕微鏡に可動式のステージを組み合わせたものであり、正確な倍率で拡大された測定対象物の像をもとに形状を確認したり、寸法測定を行ったりできます。従来の測定顕微鏡は人が操作しなければならないため、測定に時間がかかることや、人によって誤差が生じることが課題となっていました。しかし、近年では測定対象物をセットしてボタンを押すだけで測定が完了する自動測定器も普及しています。

電子顕微鏡

電子顕微鏡は、測定対象物に電子線を当てることによって得られる拡大像を観察する顕微鏡です。電子線は光学顕微鏡で使われる光よりも波長が短く、光学顕微鏡では観察できない極めて微細な測定対象物も観察できます。高性能な電子顕微鏡を使えば、原子レベルの大きさのものも観察可能です。

電子顕微鏡は、透過型と走査型の2種類に大きく分けられますが、製造業でよく使われるのは走査型電子顕微鏡(SEM)です。走査型電子顕微鏡では、測定対象物に電子線を当てながら動かし、反射した電子から得られる拡大像を観察します。半導体のような極めて小さい測定対象物の表面形状や微細な凹凸を観察するために用いられるほか、金属製品などの表面への付着物やコンタミの詳細な分析にも適しています。

電子顕微鏡を活用すれば高度な観察・分析ができますが、価格が高価であること、電子線を当てるために真空環境が必要であること、といったデメリットもあり、一般的な企業では導入しにくい傾向にあります。電子顕微鏡の使用頻度が高くない場合は、自社で導入するのではなく外部企業へ委託するケースが多いです。

走査型プローブ顕微鏡

走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、先端が尖ったプローブ(探針)を測定対象物の表面でなぞるように動かし、表面状態を観察する顕微鏡です。高性能な機種では、電子顕微鏡と同様に原子レベルの大きさのものも観察できます。

走査型プローブ顕微鏡では、プローブと測定対象物の表面との間に発生する相互作用を検出することで拡大像を取得しています。代表的なものは、原子間力を検出する原子間力顕微鏡(AFM)やトンネル電流を検出する走査型トンネル顕微鏡(STM)です。

走査型プローブ顕微鏡は、金属や半導体、セラミックス、ガラスといった工業材料全般の表面状態を観察したり、表面粗さを測定したりするために活用されています。電子顕微鏡に比べると安価かつ小型な機種が多いですが、プローブを物理的に動かす必要があるので観察に時間がかかりやすいのがデメリットです。また、何を検出するかによって観察できる測定対象物が制限される場合があるので、選定時には注意が必要になります。

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走査型プローブ顕微鏡

上述した3種類以外にも、特色のある顕微鏡が存在しています。

例えば、X線を測定対象物に照射し、透過したX線の強度分布を検出するX線顕微鏡は、測定対象物の内部構造を観察するために使われています。二次元像だけでなく、CTによって三次元像を作成できる機種があり、それらを活用すれば各方向からの断層イメージも得られます。

また、超音波顕微鏡も測定対象物の内部を観察できる顕微鏡です。測定対象物に当たって反射した超音波を検出することで、内部の剥離やクラックなどの不良を検査できます。

X線顕微鏡と超音波顕微鏡は、主に微細な半導体や電子デバイスを非破壊で観察するために用いられています。表面しか観察できないほかの顕微鏡とは用途が大きく異なるため、測定内容に応じて顕微鏡を選定するようにしましょう。

多種多様な顕微鏡を上手に活用しましょう

一口に顕微鏡といってもさまざまな種類があり、仕組みや使い方が異なります。各顕微鏡の特徴を理解した上で、最適な顕微鏡を活用して自社の研究開発や品質管理の質を向上させましょう。

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