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高性能化を続けてきた半導体の歴史とこれから

レンテックインサイト編集部

IT Insight 高性能化を続けてきた半導体の歴史とこれから

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半導体の誕生以来、その性能は年々大幅に向上してきましたが、徐々に限界が見えてきたといわれています。半導体の進化の歴史と今後の展望を知ることで、これからの半導体市場に関する理解が深まっていくでしょう。

本記事では、高性能化を続けてきた半導体の歴史を振り返った上で、今後の展望について解説します。

半導体の歴史

最も初期の半導体は1940年代に発明されたトランジスタと呼ばれる半導体素子です。トランジスタは電子回路内で増幅とスイッチングを担う部品であり、弱い電気信号を強い信号に変えたり、電気信号の流れのON/OFFを切り替えたりします。

トランジスタが発明されるまでは、同じく増幅機能を持つ真空管が使われていました。しかし、真空管はサイズや消費電力が大きいだけでなく、熱を持って壊れやすいという課題があったため、トランジスタへの置き換えが進んでいきました。

トランジスタの発明によって半導体の時代が始まりましたが、1950年代後半に発明されたICによって、半導体業界はさらに成長することになります。ICは集積回路のことで、トランジスタやコンデンサなどの半導体素子を一つの基板上に集めた部品です。ICを活用することで電子機器の小型化や軽量化が実現できるようになり、急速にデジタル化が進みました。

その後もICの製造技術は年々向上していき、一つの基板上に膨大な数の半導体素子を集積できるようになります。初期のICは数個の半導体素子で構成されていましたが、1970年代には数千個の半導体素子で構成されたLSI(大規模集積回路)と呼ばれるものに進化しました。1980年代にはLSIを活用したパソコンやゲーム機などが普及しており、豊かな暮らしが実現していきました。

現在では、ICやLSIといった名称で明確に分けることは少なく、ほとんど同義で扱われています。2021年現在では、一つのICにおける半導体素子の数は十億単位にまで増えている状況です。

半導体の性能に関する「ムーアの法則」とは?

半導体の高性能化を語る上で欠かせないのが、「ムーアの法則」と呼ばれる有名な経験則です。この法則は、インテル創業者の一人であるゴードン・ムーアが1965年に電子技術の専門誌に寄稿した記事が基になっており、「半導体の集積率は18カ月で2倍になる」という内容で知られています。

半導体の集積率とは、同じ面積の基板上にいくつの半導体素子が集結しているかを指します。基本的に、集積率が高いほど半導体の性能は上がるため、半導体の性能を測る指標の一つとして扱われてきました。

ゴードン・ムーアは過去の経験則を元に、半導体製造技術の進歩によって半導体の集積率が毎年のように倍増していくことを予測しました。記事内には、少なくとも1965年から1975年までの10年間は同じ比率で集積率が増え続けるだろうという予測が書かれており、実際に1975年になるとその予測が正しかったことが実証されます。そして、若干のズレはあるものの、提唱されてから50年以上経った現在でも「ムーアの法則」は生き続けているのです。

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「ムーアの法則」の限界が近づいている?

半導体業界では、「ムーアの法則」に沿う形で50年以上も高性能化が続いてきました。しかし、近年では半導体製造技術の限界が近づきつつあり、「ムーアの法則」は終わるのではないかとたびたび指摘されています。

半導体の集積率を高める手段で最も主流だったのは、回路線幅の微細化です。半導体の集積率はよく10nm(ナノメートル)プロセスといった表現がされますが、ここでいうプロセスは回路線幅と同義で扱われています。つまり、10nmプロセスのICは、一つ一つの回路線が10nmという極めて微細な幅で作られているということです。

2021年時点で実用化されているのは5nmプロセスのICですが、それを作れる半導体メーカーは業界トップクラスの数社のみであり、他のメーカーは微細化の競争に付いていけませんでした。一部では5nmプロセスの次となる3nmプロセスの試作が行われていますが、実用化の目処は明らかになっていません。今後も回路線幅の微細化によって半導体の集積率を高めるためには、何らかの技術革新が必要になると考えられています。

しかし、半導体の集積率を高める方法は微細化だけではありません。すでに実用化されているのが、縦方向に積み上げる三次元化と呼ばれる方法です。平面での微細化には物理的な限界があるという考えから、多くの半導体メーカーが三次元化の技術開発にも取り組んできました。ただし、三次元化にも強度的な限界があるといわれているため、延々と集積率を高めることはできないと考えられています。

半導体の高性能化は継続するのか?

半導体の高性能化を象徴していた「ムーアの法則」は、微細化や三次元化の限界によってまもなく終わってしまうのかもしれません。しかし、「ムーアの法則」の終わりは過去にも何度か言われたことがあり、その度に技術革新が起こってきた歴史があります。微細化や三次元化だけでなく、材料や構造の見直しで半導体の性能を高めようという動きもあるので、本当に「ムーアの法則」が終わるかどうかはまだまだ分からない状況です。

半導体の高性能化は、私たちのこれからの生活やビジネスにも大きく影響します。半導体メーカー各社による技術開発の動向に注目していきたいものです。

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