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実用化に期待が集まるホログラム

レンテックインサイト編集部

IT Insight 実用化に期待が集まるホログラム

画像素材:Adobe Stock

本記事では、ホログラムの原理や用途を解説します。

デジタル技術や映像表現が進化したことで、何もない空間上に立体映像を映し出すホログラムが実用化に近づいています。ホログラムは立体映像を表示するだけでなく、立体映像の記録や測定技術としても活用できる優れた技術です。

本格的な実用化の前に、ホログラムについての正しい知識を身につけておくとよいでしょう。

ホログラムとは?

ホログラムは本来、三次元情報を記録した媒体を指す言葉です。また、ホログラムを作る技術はホログラフィーと呼ばれています。SF映画などによく登場するホログラムが何もない空間上に立体的な映像を映し出す技術であることから、ホログラムのことを映像技術の一種と考えている人は多いのではないでしょうか。

ホログラムの「Holo」はギリシャ語で「すべて」を意味する言葉であり、写真(フォトグラフ)との対比で生まれました。写真が二次元情報を記録するのに対して、ホログラムは三次元情報を記録する点が大きく異なります。

本来の意味でのホログラムは、すでに印刷技術として活用されています。例えば、クレジットカードや金券などの表面に、見る角度によって色や模様が変わるキラキラしたシールが貼られているのをご存知でしょうか。これらはホログラム印刷と呼ばれる技術であり、装飾や偽造防止の目的で使われています。

一方で、SF映画などに登場する立体映像としてのホログラムは技術的な難易度が高く、まだ本格的な実用化はされていません。しかし、近年でさまざまな技術開発が進んだことで、立体映像のホログラムも徐々に実用化されつつあります。

ホログラムの原理

上述した通り、ホログラムは三次元情報を記録したものです。二次元情報を記録する写真では、光の強さと色の情報のみを記録していますが、ホログラムではそれらに加えて、どの方向から光が来ているかを示す位相情報も含めて記録しています。

ホログラムを作り出すホログラフィー技術では、光の位相を記録するために参照光を利用しています。物体から来た光に参照光を重ね合わせると、光の干渉によって干渉縞と呼ばれる模様が作られます。この干渉縞に位相を記録する際に利用した参照光を当てると、ほぼ完全な形で物体の三次元像を再生できるという仕組みです。

ホログラムでは物体の三次元像がそのまま記録されているため、正面からだけでなく、横や後ろに回り込んでも立体のまま見られる点が他の映像技術とは大きく異なります。一般的にホログラムというと、空中に立体的に浮かんだ映像や、VR・ARも含められる場合がありますが、これらは厳密にはホログラムと異なります。ヘッドマウントディスプレイなどを装着することなく、裸眼でどの方向から見ても立体的な映像を表示できるものが、本来のホログラムだといえるでしょう。

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ホログラムの用途

ホログラムはさまざまな用途での活用が期待されています。

代表的な用途は、SF映画でよくあるような立体映像を表示しながらの通話です。2021年現在、私たちの日常的な連絡手段はかつてのメールや音声通話から、ビデオ通話に変わりつつあります。将来的にはビデオ通話の時代も終わり、ホログラムで姿を映しながら会話をする時代が来るかもしれません。しかし、写真や動画よりも情報量の多いホログラムを記録したり、再生したりするためには膨大なデータ量が必要であり、現在の通信技術やメモリ技術では実現は難しいとされています。一説によると、5Gの次に来るとされている6Gの技術であれば、ホログラムを日常的に利用できるようになると言われています。

また、通話以外の情報伝達にもホログラムは活用できます。実際に、日本のメーカーが裸眼で全方位から見られる立体映像を映し出すプロジェクターを開発しており、2022年には実用化される可能性があります。現時点ではデジタルサイネージとして活用される予定ですが、ビジネスや教育、エンターテインメントの分野にも幅広く応用できると期待されています。

また、ホログラムの本質は立体映像を表示することでなく、立体映像をそのまま記録できることです。その特徴を生かして、測定技術としてのホログラムの活用が進んでいます。

例えば、測定技術の市場ではデジタルホログラフィーが注目を集めています。デジタルホログラフィーとは、ホログラフィー技術によって物体の立体像を記録し、コンピューターで計算することで物体の三次元形状を測る技術です。ミクロサイズの物体を立体的に観察できるホログラフィー顕微鏡などが開発され、医療業界や生物学の分野で活用されています。デジタルホログラフィーの市場は2015年から2020年にかけて大きく成長しており、その傾向は今後も続くと考えられています。

ホログラムは現時点では技術的な難易度が高く、一般消費者に普及するのはしばらく先だと考えられます。そのため、まずは企業や研究施設が利用する測定技術としてホログラムが普及し、技術開発が進んだ後に一般消費者向けにも広まっていくと予想できます。

ホログラムの用途は広がっていく

ホログラムは決して遠い未来の技術ではなく、現実に活用され始めています。いずれはSF映画のように立体映像をリアルタイムで映し出せるようになり、私たちの生活を大きく変えることでしょう。ホログラムおよびホログラフィー技術の今後に注目していきたいところです。

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