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製造業の働き方改革を進めるうえで知りたい勤怠管理システムのメリットと導入のポイント

レンテックインサイト編集部

個々人が各々の事情に応じて多様な働き方を選べるようにすることを目指す働き方改革。その実現に向けて「働き方改革関連法」の整備が進められ、法定年間休暇付与日数10日以上のすべての労働者への5日以上の有給取得や時間外労働の上限制限(月45時間・年360時間)が定められました。
このように労働規制が進む中で、ますます重要になってくるのが「労働時間」の管理です。本記事ではその端緒として「勤怠管理システム」に着目し、その導入のメリットや導入のコツについて解説します。

労働時間管理の方法も刷新の時代 いま最もポピュラーな方法は?

まずはマクロな視点から労働時間管理の現状について押さえましょう。
東京都産業労働局が発表した「令和2年度 働き方改革に関する実態調査 」によると、一般労働者の労働時間管理方法で最も大きな割合を占めるのは「タイムカード(32.6%)」で、それに「ICカード(29.0%)」、「自己申告(12.7%)」が続きました。

製造業に限定すると、「ICカード(37.5%)」、「タイムカード(34.4%)」、「パソコンの使用時間の記録(11.5%)」がトップ3となっており、「自己申告」は8.3%と平均より低くなっています。

つまり、産業全体の平均と比較すると“製造業の労務管理のIT化は進んでいる”といえます。とはいえ、タイムカードがいまだに3割以上を占めていることは見逃せないポイントです。また「勤怠管理システム」「クラウド型勤怠管理システム」「指静脈認証システム」などを含む「その他の方法」の製造業における導入率は8.3%と他業界と比べて決して高いものとはいえません。

とはいえ、「タイムカードで十分なのでは?」という疑問が浮かんでいる方も少なくないはずです。そこでここからは、労働時間管理をIT化するメリットについてご説明します。

勤怠管理システム導入のメリットとは?

労働時間管理をIT化する第一のメリットは、データがシステム上で記録されることで人事労務担当者の負担が大きく削減されるということです。製造業はシフト制や変形労働時間制など産業の中でも特に働き方が多様なため、労務管理が非常に複雑になってしまいがち。月末の集計作業に追われる労務担当者の姿を目にしたことがある方も多いはずです。
システム上であればデータを自動で集計し、事前に設定した勤務形態に合わせて業務内容の改善依頼を実施することも可能になります。

ICカードをタッチしたり、画面上のボタンをクリックしたりといった方法であれば打刻のミスや不正も防ぎやすくなります。人数の多い工場等であれば退勤時間周辺に、打刻機の前に列ができるという光景も日常茶飯事でしたが、PCやスマートフォンを使ってワンタッチ・ワンクリックで出勤・退勤時刻を記録できるのであれば効率も高まります。

働き方改革という目標を達成するためには、単に従業員が問題なく出勤・退勤しているかだけでなく、特定の人間の残業時間が長くなってしまっていないか、各々の負担に偏りがないか、人員計画は実態に即しているか、を把握する必要があります。そこで、人事労務担当者の負担を軽減し、個々人の労働時間のデータを分析しやすい形で示し、事前の設定でアラートを表示させることも可能なシステムを導入することは大きなメリットとなるはずです。

「タイムカード」を刷新できない理由別、解決法

勤怠管理のIT化を進めようと思っても、なかなか導入できない事情があるという方もいらっしゃるでしょう。
ここではありがちな悩みを取り上げ、解決策をご紹介します。

PCが社内に一台しかない

デスクワークが主な職場でなければ、従業員が打刻するに十分なPCがないという困りごとは起こりがちです。その対策として最もポピュラーなのはICカードによる勤怠管理システムを導入することです。その場合、支給されたタイムレコーダーか、PCに接続するタイプのカードリーダーを用いることになります。いずれもタイムカードを所定の場所から探し、差し込むという手間をかけていたころと比べて大きく効率が高まるはずです。
あるいは静脈や指紋といった生体情報認識や各々のスマートフォンによる打刻を導入するという方法もあります。生体情報を認識するタイプの打刻であれば、「遅刻をごまかすため同僚に代わりの打刻を依頼する」などの不正も成り立たなくなります。

システムの更新や管理ができる人材がいない

企業内にITに詳しい人材がおらず、これまでのやり方を変えたくないというのも少ならず聞かれる意見です。確かに新たにシステムの使い方を学び、管理ルールの変更があるたびに設定を更新するというのは、難しく感じられるかもしれません。しかし、近年の勤怠管理システムはクラウドタイプのものが普及しており、一般的なオフィスで求められる機能はほぼほぼ網羅したうえで、制度変更に対応した更新も自動で行われます。

クラウドサービスの中には、製造業向けのカスタマイズが可能な製品も少なくありません。タイムカードによる管理でも、制度変更への対応は不可欠なため、システムを導入した方が将来的な負担は少なくなるとも考えられるでしょう。

足元からのIT化が製造業の盛り上がりにつながる

働き方改革の第一歩としての労働時間管理をIT化する事のメリットや困りごと解決の方法についてご紹介しました。AIやIoT(モノのインターネット)に注目が集まる昨今ですが、まずは足元からのIT化を進めることが働き方改革のみならず企業の成長、ひいては製造業全体の盛り上がりに必要なことだと言われています。勤怠管理方法の刷新はその一つです。
現状維持にとらわれず、自社に適した方法を模索してみることをおすすめします。

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