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製造業に押し寄せるサービタイゼーションの流れ

レンテックインサイト編集部

製造業の新たなビジネスモデルとして、サービタイゼーションが注目されています。従来の「モノ」を売るビジネスだけでは持続的な成長ができなくなり、サービスとしての「コト」売りへの転換が求められているためです。しかし、実際にサービタイゼーションに成功している企業はまだまだ少なく、何をすればよいのか分からないという人も多いでしょう。

本記事では、製造業に求められているサービタイゼーションとは何かを解説します。

サービタイゼーションとは?

製造業におけるサービタイゼーションとは、製品を売って収益を上げることが中心だった従来のビジネスモデルではなく、製品をサービスとして提供して収益を上げるビジネスモデルのことです。もしくは、そういったビジネスモデルへの転換を目指す概念としても用いられています。

サービタイゼーションは全く新しいビジネスモデルというわけではありません。例えば、リカーリングはサービタイゼーションの一種です。リカーリングとは、製品を売って終わりではなく販売後も顧客から継続的に収益を上げるビジネスモデルで、典型例としてプリンター業界が挙げられます。プリンター業界では、プリンター本体は安く提供して、消耗品のインクを継続的に購入してもらうことで収益を上げています。

また、製品を販売した後の保守メンテナンスで収益を上げることもサービタイゼーションに該当します。製造業で用いられる産業機械などでは保守メンテナンスを有料サービスとして提供している企業が多く、珍しいものではありません。

サービタイゼーションがあらためて注目されている背景には、社会の変化があります。製造業では国際的な競争が激しくなっており、性能や価格で違いを出すことは難しくなってきました。また、世の中にモノが満ち足りているため、顧客はモノを所有すること自体ではなくモノを購入することで得られる体験を重視するようになっています。このような社会の変化を受けて、製造業はサービタイゼーションへの転換を求められているのです。

最近では、製造業企業がサブスクリプションモデルを取り入れるというニュースがよく見られます。サブスクリプションも毎月定額で製品をサービスとして提供するため、サービタイゼーションの一種です。製造業全体で、サービタイゼーションの流れが加速しているといえます。

サービタイゼーションに欠かせないIT技術

製造業がサービタイゼーションを実現する上で欠かせないのが、IT技術です。上述したリカーニングや保守メンテナンスのような以前からあるビジネスモデルも、急速に発達したIT技術を活用すればより高度なサービスに生まれ変わります。

例えば、産業機械の保守メンテナンスの場合、定期的に顧客企業を訪問したり、故障が起こってから対応したりするのが従来のやり方でした。しかし、産業機械をIoT化しておけば、遠隔で稼働状況を把握して故障の予兆を発見し、実際に故障が起こる前に対処できるようになります。また、実際に産業機械が使われている様子をデータ収集して分析すれば、今後のの製品やサービスの改善に役立てられます。

このようにIT技術を活用することによって、既存のビジネスを再構築してより利便性を高めたり、新たなサービスを生み出したりできます。上述したIoTでのデータ収集のほかにも、顧客データをクラウド上に保存する、ビッグデータをAIで分析する、といった形でIT技術を駆使してサービタイゼーションは実現します。

製造業におけるサービタイゼーション事例

それでは、実際に製造業企業がサービタイゼーションに取り組んでいる事例をいくつかご紹介します。

ここでご紹介する企業は、いずれもDXに積極的に取り組んでいる企業です。製造業でのDXの方向性としては、製造現場における生産性向上を目指す「スマートファクトリー」がまず注目されがちですが、AIやIoTといったデジタル技術を導入して新たなビジネスモデルを創出し、競争力を高めることも同じように重要といえます。サービタイゼーションという新しいビジネスモデルを創出しようと取り組んでいる企業の事例を学んでいきましょう。

一つ目の事例は、大手農機メーカーが提供しているサービスです。農機をIoT化してデータ収集機能を付与し、品質・収量の向上や農機の順調稼働をサポートしています。ほかにも、電子地図での農地管理、パソコンとスマートフォンでの作業記録など、農業経営を見える化する便利なサービスも一緒に提供しており、スマート農業の実現に貢献しています。

二つ目の事例は、大手タイヤメーカーが提供しているサブスクリプションサービスです。タイヤから得られる走行データを活用して、利用者の使用状況に対応したタイヤのパーソナライゼーションを目指す取り組みになっています。表面の溝形状を最適化してタイヤを長寿命化したり、効率的なタイヤ交換時期を提案したりできるため、利用者側のメリットが大きいサービスです。

最後の事例は、IoT機器メーカーが提供しているサービスです。顧客である製造業企業に対してIoT機器を販売するのではなく、ネットワークなどを含んだIoTシステムごと貸し出すビジネスモデルで収益を上げています。使用頻度やデータ量に応じた従量課金制をとっているため、顧客はIoTの導入コストも運用コストも下げられる点が魅力です。

製造業のDXでサービタイゼーションの流れは続く

製造業ではDXがトレンドになっていますが、本記事でご紹介したサービタイゼーションはスマートファクトリーと並ぶ製造業DXの中心的な取り組みです。製造業におけるサービタイゼーションの流れは、今後も続くことが予想できます。既にサービタイゼーションに取り組んでいる企業の事例を参考にしつつ、自社でどのようなサービスを提供できるのかを考えてみてはいかがでしょうか。

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