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「製造業×RPA」で知っておきたい活用事例・導入のポイント

レンテックインサイト編集部

現代企業のIT活用について調べていると、IoTやAIのほかに、RPAについてもよく目にします。定型作業を自動化することで数百時間の工数削減など、ときに大きな効果を発揮するRPA。「興味はあるけれどまだ知識がない……」という方に向けて、どの概要や製造業に生かせる活用事例、導入のポイントを解説いたします!

RPAは「ロボットによる業務の自動化」 製造業での活用状況は?

RPAはRobotic Process Automationの略で、「ロボットによる業務の自動化」を意味します。
ロボットによる自動化は製造業では当たり前に行われてきたことでした。その対象をデータ入力、紙資料のスキャンによる取り込み、データの収集・分析、メールの自動返信といったバックオフィス業務に向けたのがRPAといえるでしょう。

工場作業の自動化は進んでいながら、バックオフィス業務は地道に人間の手で行われているという現場もいまだに少なくありません。そこに導入することで工数を丸ごと削減でき生産性向上が図れるのがRPAの最大のメリットです。また、ロボットに作業を代行させることでヒューマンエラーがなくなり精度が高まる、導入が業務オペレーション見直しのきっかけになるといった利点も報告されています。

内閣府が発表した「令和元年度 年次経済財政報告」によると、製造業のRPA投資の実施率は14%程度で、調査対象となった7業種の中で3番目に位置しました。7業種で1番だった金融・保健のRPA投資実施率は40%近く、業界によって意識の違いがあることが見て取れます。また、企業規模によっても差が大きく、従業員500人以上の大企業では40%に迫るRPA投資実施率が見られたのに対し、従業員規模30~499人では10%未満、29人以下では5%未満でした。

同じく内閣府の「令和2年度 年次経済財政報告」では、RPAを含むソフトウェア装備率が労働生産性の向上に与える影響は製造業においても機械設備装備率以上に大きいことが報告されています。同報告書でRPAの導入拡大に前向きな企業は79%と記載されており、その効果が社会にも浸透しつつあることが見て取れます。

RPA活用で成果が得られた物流業界、製造業界の事例

「RPAで何ができるのか」をより具体的にイメージできるよう、導入により成果を得た物流、製造業界の2社の事例をご紹介します。

日本通運:事務、経理、トレースなどの自動化で、年間72万8,721時間削減

2018年3月にRPA推進を開始した日本通運は、2021年3月までに業務時間を年間72万8,721時間削減したと発表しています。19年5月時点でロボット100台の稼働(マスタロボットは46台)を実現。コンテナ貨物のスポット発注や支払いといった事務作業、メール添付ファイルの保存・印刷、Excelの作業計画表ファイルをもとにした入力業務などを自動化したといいます。さらに経理業務や近年製造業でも重要視されているトレースにもRPAを応用。成功を踏まえてロボットを追加導入し、大きな業務効率化を達成しました。
同社は現在、2021年度末までの100万時間の削減達成を目標に掲げているということです。

オムロン:製造業ならではの業務をRPAで効率化

制御機器・FAシステムや医療機器の製造で知られるオムロン。同社は、サプライヤーへの納期リスト作成・送付やフォーキャスト(見込み)情報の送付、伝票と突き合せた出荷遅れのチェック、さらには技術者への昇格試験の案内などものづくり企業ならではの業務にRPAを導入しています。
同社がRPAの全社的な導入に踏み切ったきっかけのひとつに、RPAブームの高まりにより各部門が自主的にRPAを導入する事例が見られたため、全社的なシステムを構築し、社内のガバナンス強化に努めたいという思惑があったとのこと。
また、RPA導入にあたって社内業務を洗い出すことで、ムダや作業手順の見直しにもつながったといいます。

RPA導入時に必ず注意したい2つのポイント

RPA導入時につまずかないために意識しておくべき原理原則を2つ知っておいてください。

「どの業務を自動化するか」の選定に時間をかける

RPA導入で成果を得るにあたって「どのベンダーのツールを導入するか」より先に考えるべきなのが「どの業務を自動化するか」ということです。
RPAは単純化された定型作業を自動化することに適しており、それゆえに誰にでも操作できるシンプルさが魅力にもなっています。そのため、どの業務が定型化しやすいのか、そもそもその作業は必要なのかをRPAの導入段階で検討することは必ず自社にとってプラスになるはずです。

RPA導入の担当者を任命する

RPAの操作は比較的シンプルですが、使用者に前向きな姿勢がなければ、定着までにはやはり時間がかかるでしょう。逆に、RPAの意義を理解している社員が小さなものであれ成果を出すことができれば、その情報が周囲へと伝わり活用が急速に進むことが期待されます。
そのため、RPA導入を推進してくれる、ITに知見あるいは興味があり、社内の旗振り役を務めてくれるような人材を見つけることが導入成功のカギとなります。
情報システム部門はもちろんですが、現場からもやる気のある人材を募ることで、業務の選定や社内へのRPA文化の浸透もスムーズに進んでいくはずです。

「人間がするにはもったいない作業」を探してみよう

RPAのメリット、導入事例、導入のポイントなど基本情報をまとめてお届けしました。本文の通り、RPA導入の成功には適した業務を選定し、そこで「小さな成功」を実現できるかが大きな分岐点となります。定型的で人間がするにはもったいない作業は多くの企業に眠っています。徹底的な見直しの機会をこのタイミングで設けてみてはいかがでしょうか?

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