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製造業のDXに不可欠なデータマネジメント

レンテックインサイト編集部

IT Insight 製造業のDXに不可欠なデータマネジメント

DXに関連して、データマネジメントという言葉が注目されています。DXに失敗する典型的なパターンとして、収集したデータを上手く活用できていないということが挙げられますが、そのような失敗をしないためにはデータマネジメントの考え方を身につけることが重要です。

本記事では、製造業がDXを成功させるために不可欠なデータマネジメントについて解説します。

データマネジメントとは?

データマネジメントとは、文字通りデータを管理することを指しますが、実際はもっと幅広い意味で使われています。具体的には、次のような活動がデータマネジメントで実施する内容として挙げられます。

  • 活用するデータの種類や活用方法などの方針を定めること
  • データを蓄積する仕組みを維持管理すること
  • データをいつでも使える状態に保つこと
  • データの品質を高めること
  • データを保護する体制を構築すること

IoTといったデジタル技術が発展することで、製造業で扱うデータの種類と量は年々増えています。一方で、必要なデータがどこにあるか分からない、データを変換しないと使えない、データ分析に時間がかかる、といった理由からデータを上手に活用できていないケースが多いのが実情です。

せっかくデータを蓄積しても、それらを活用できなければ意味がありません。本来であれば、蓄積したデータを生産性向上に役立てたり、新製品やサービスの創出に生かしたりすることでビジネスを変革させることを目指したいところですが、その前提となるデータ管理でつまずいている企業が多く存在しています。

データマネジメントの考え方を知ることが、製造業がDXを進めるための第一歩となるでしょう。

データマネジメントにおける三つのポイント

データマネジメントは、次の三つのポイントを踏まえて取り組む必要があります。

  1. データ管理
  2. データ活用
  3. データ保護

一昔前のデータマネジメントは「データ管理」のみに注目した取り組みでした。しかし、現在では「データをどのようにしてビジネスに活用するか」や「セキュリティやプライバシー保護の観点からどのようにデータを保護するか」も重視されるようになっています。

三つのポイントのどれが欠けていても、効果的なデータマネジメントは実現できません。各ポイントで求められている内容を見てみましょう。

データ管理

データ管理で求められることは二つあります。一つ目は、効率的にデータを管理できる仕組み作りです。ITツールを導入するだけでなく、データの流れの見える化やデータを扱う上でのルールを定めておき、膨大なデータであっても手間なく適切に処理できる体制を構築しなければなりません。

二つ目は、データをいつでも使える状態に維持することです。具体的には、データの所在が把握できること、データが要求品質を満たしていること、データの意味が明確になっていることを目指します。

データ管理が正しくなされていなければ、データを活用することも保護することもできないため、データマネジメントの根幹を担うものだといえます。

データ活用

製造業で蓄積されたデータは、あらゆる用途で活用できます。

  • 日々の生産実績データを基に改善を行い、生産性を向上させる
  • 設備の稼働データを分析して予兆検知を行い、ライン停止を未然に防ぐ
  • 過去の製品データや顧客ニーズの情報を製品開発に活用する
  • 顧客の使用状況をモニタリングしてアフターサービスを充実させる
  • 過去の受発注データを基にして需要変動を予測し、生産管理を最適化させる

これらはまさしく、製造業のDXに向けた取り組みと一致します。データマネジメントを成功させてデータを上手に活用できるようになれば、企業は自社の価値を高めて成長できるでしょう。

データ保護

企業が蓄積しているデータは機密情報の塊であり、サイバー攻撃やウイルスの脅威から守らなければなりません。また、製造業であってもサービス向上のために顧客情報を保有するケースが増えたため、プライバシー保護の観点からもセキュリティ対策が重視されています。

クラウドやIoT機器の導入に伴って、セキュリティ対策を施す対象は増加傾向にあります。従来のセキュリティ対策のままではデータを守れない可能性が高いため、抜本的な見直しを行いつつ、必要に応じてアップデートしていくことが求められています。

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データマネジメントの活動内容

データマネジメントの活動内容は数多くあり、いきなりすべてに取り組もうとすると失敗しやすくなります。ここでは、初期の活動内容として4つのステップをご紹介します。

1.データ活用の目的を明確にする

データマネジメントはあくまでも手段であり、目的ではありません。データを活用して何を実現したいのかによって必要なデータの種類や要求品質が定まり、活動内容を決定できます。最初にデータ活用の目的を明確にしておきましょう。

2.データの見える化

次に取り組みたいのが、データの見える化です。現状を把握するために、どのような形式のデータが、いつどこで発生してどこで保管され、どのように活用されているのかを調査しましょう。データマップとしてフロー図に変換すると、後で管理がしやすくなります。

3.データのムダを省く

データの見える化によって、現状のデータ管理におけるさまざまなムダを発見できるはずです。例えば、不要なデータが無意味に蓄積されている、同じデータを複数システムで重複管理している、といったことがよくあります。そのようなムダを省くことで、効率的なデータ管理ができるようになるでしょう。

4.データをいつでも使える状態にする

必要なときにすぐに使える状態でデータが維持されていれば、格段にデータを活用しやすくなります。共有のデータベースに保管してデータの検索性を高める、BIツールで変換することでデータの可読性を高める、といった活動を通じて、データを活用しやすい基盤を作っていきます。

データを上手に活用して自社のDXを実現しましょう

製造業では、データをどのように収集するかに焦点が当たりがちですが、本当に重要なのはいかにデータを活用するかです。自社の保有する貴重なデータをビジネスに活用できるようにする取り組みがデータマネジメントであり、データを扱う企業であれば等しく身に着けておきたいものです。

これからの時代でビジネスを成長させるためには、データの活用が必要不可欠になります。DXへの取り組みがデータを集めただけで終わらないためにも、まずは自社のデータマネジメントを見直して、データを活用できる基盤作りに取り組んでいきましょう。

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