3Dプリンター Insight

「目の肥えたクリエイターも絶賛する3Dプリンターの色表現」~ミマキエンジニアリング社~

レンテックインサイト編集部

3Dプリンター Insight 「目の肥えたクリエイターも絶賛する3Dプリンターの色表現」~ミマキエンジニアリング社~

 ミマキエンジニアリング社は2017年に3Dプリンター事業に参入し、モノクロの世界とされてきた3Dプリンターの造形で鮮やかな色表現を可能にしました。 同社の3Dプリンター「3DUJ-553」の特徴や3Dプリンター事業の今後の展望について、株式会社ミマキエンジニアリング 営業本部 JP事業部の藤村あゆみ氏にお話を伺いました。

独自技術を生かし、今までにない3Dプリンターの開発に成功

ミマキエンジニアリング社は長野県東御市に本社を置き、全国および海外に拠点を持っています。 同社の広告・看板向けインクジェットプリンタは世界トップクラスのシェアを誇り、 スマートフォンカバーやグッズなどの工業製品、ソフトサインやアパレルなどで活用する布地へのプリンタなどの衣料品とあわせて三つの市場でインクジェットプリンタ事業を展開しています。

そして四つ目として新たに手掛けたのが3Dプリンターの開発でした。 同社が参入したのは2017年とごく最近のことです。 それまで3Dプリンター市場では単色がメインで、色の表現に特化した製品は少なく、フルカラー表現ができるプリンタもありましたが、満足のいく色味ではありませんでした。 同社は高画質が求められる業務用のインクジェットプリンタ開発で培った独自技術を応用することで競争優位性が獲得できると考えました。 「当社の既存顧客も平面の印刷の価格競争に悩まされており、新たなビジネスとして三次元の造形を視野に入れています。 今後は3Dプリンターにも必ずフルカラーが求められるようになると考えていました」(藤村氏)。

鮮明な色彩で造形する3Dプリンター「3DUJ-553」

 そして誕生した3Dプリンターが「3DUJ-553」です。アクリル系樹脂のインクを積層し、UVを照射して硬化させる仕組みとなっています。 553という数字は「500mm×500mm×300mm」の造形領域から名付けられました。

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(図:3Dプリンター 3DUJ-553)

3DUJ-553の強みはなんといっても同社の独自技術を生かして1,000万色以上のフルカラーで表現する美しい色表現です。 シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)、ブラック(Black)というインクの基本色の掛け合わせに加えて、 クリア、ホワイトを備えており、透明色や半透明のカラー表現により意匠性のある造形が可能です。

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(図:3DUJ-553での作品)

半透明の造形にして光を透過させることができます。

積層の際に3Dデータを横にスライスし、カラーインクとサポート材を同時にプリントすることで造形していきます。 白でない下地の上に色をのせても美しく発色しません。ベースにある白色のインク層が反射することでインク本来の色を表現することができるのです。

同じくカラー表現が可能な石膏方式と比較すると、色があせることなく、表面も滑らかに仕上がるというメリットがあります。 「造形後に塗装をしたり造形の後に研磨するバリ取りをしたりという高度な手作業に依存する必要がほぼなくなります」(藤村氏)。 オーバーコートを使用すれば耐候性を向上させることもできます。

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(図:左が石膏方式の3Dプリンター、右が3DUJ-553で出力したもの)

右の方が色が鮮明で、表面が滑らかなのがわかります。

また、空洞部分や極小部分を造形するのに必要なサポート材を除去する仕組みも顧客から高い評価を得ています。 従来の3Dプリンターでは、サポート材をきれいに取り除く作業に手間がかかっていました。3DUJ-553では、造形した後に水に漬けておくだけでサポート材を簡単に取り除くことができます。

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(図:3DUJ-553で造形したものからサポート材を水で洗い流す様子)

緻密で強度のある造形物ができるのも魅力の一つです。 例えば、下の写真のような人差し指と小指を立てているポーズのフィギュアを造形する場合、 石膏では指などの細い部分が折れやすいという欠点がありますが、3DUJ-553ではアクリル系樹脂を使用するため、造形されたものにはABS樹脂と同等の強度があります。

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(図:3DUJ-553で作成したフィギュア)

3DUJ-553の本体価格は税抜き1,780万円となっています。 これだけの大きな造形領域を持ち、フルカラーで出力できる他社製品と比較すると3分の1以下の価格となり、コストパフォーマンスの良さも大きなメリットとなっています。

3DUJ-553はすでに玩具の試作やフィギュア、建築模型、医療分野のモデル、立体地図などさまざまな業界で活用されています。

デジタルでしか存在しなかった空間を形に「株式会社ホタルコーポレーション」

3DUJ-553を活用する企業の一つが株式会社ホタルコーポレーションです。蛍印刷株式会社の子会社として2007年に設立され、紙以外のプリントに特化するというコンセプトのもと事業を展開しています。

同社が3DUJ-553を使って手がけたものの一つが、NAGASAKI3DPROJECTと共同で実施した軍艦島の造形です。
NAGASAKI3DPROJECT出水享 工学博士(長崎大学)と小島健一氏が製作した軍艦島3DCGモデルを同社が造形しました。

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(図:3DUJ-553での作成した軍艦島の造形)

0.2mmの精緻な表現によって、建物の細かい部分やベルトコンベヤーまで正確に表現されています。精密な作りはテレビ局の取材もあったほど評判となりました。

この時に培ったノウハウをもとに同社はCG業界にもプロモーションを展開しています。「パソコンでフィギュアを造形するデジタル原型師からすると、自分の設計したデータがリアルになるという感覚がありません。 しかし実際にパソコンの中にしかなかったキャラクターを3Dプリンターで造形すると、クリエイターの感性が刺激されます。 そのためCG業界にも3Dプリンターがどんどん入ってくると期待されています」(藤村氏)。

2次元のキャラクターのフィギュア化が大反響「株式会社ポプルス」

株式会社ポプルスは1976年に設立された企画印刷業者です。同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)」に初回から参加しており、同人誌や関連グッズ製作者から高い評価を獲得しています。

同社は3DUJ-553の発売後まもなく、サンプルの発色と強度が気に入って導入しました。 それまで同社は石膏方式の3Dプリンターを使っていましたが、思い通りの色が出ないことや、粉が飛散するため作業環境が良くないことに問題を感じていました。

同社の強みは、2次元で表現されたキャラクターを立体造形できる技術を持っていることです。前と後ろのイラストだけで、イメージと寸分違わぬフィギュアを造形する高い技術があります。

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(図:ミマキ3Dプリンター事例より)

「立体造形アートは大きな反響を呼び、美しい色表現は目の肥えたクリエイターからも認められ高い評価をいただいております。」(藤村氏)。

石膏方式の3Dプリンターと比較するとメンテナンスも簡単になり、作業環境も改善されました。

色付きの造形の可能性を拡げたい

「ミマキエンジニアリング社から販売している3Dプリンターは一種類ですが、今後は小型化や多素材への対応を視野に入れています。 「発売してから一年しかたっていませんが、まだフルカラーで出力できることを知らないお客様がとても多いと感じています。 3Dプリンターは形を作って終わりと思っている方に、色を付けて造形する可能性をもっと知っていただきたいですね」(藤村氏)。

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