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3Dプリンターによるシューズ製作について、メリットや製作事例を紹介

レンテックインサイト編集部

3Dプリンターによるシューズ製作について、メリットや製作事例を紹介

3Dプリンターの普及にともない、シューズメーカーが3Dプリンターを用いてシューズを製作、販売する事例が増えています。本記事では、各社のシューズの製作事例や3Dプリンターで実現できる技術について解説します。

3Dプリンターでシューズを製作するメリット

シューズ製作に3Dプリンターを用いることで、少量多品種の製作が可能となり、一人一人のユーザーに合ったシューズの提供がしやすくなりました。また、自由なデザインを実現できるようになり、新たなデザインへの挑戦が容易になりました。

多品種少量で製作できる

一般的な靴の製作プロセスでは、革やゴムの裁断、接着剤による革の貼り合わせ、靴型に合わせた成形などがあります。大規模な生産工場では、一部の工程を産業用ロボットによって自動化している例もありますが、大半の工程は熟練の職人が手作業で行っています。また、ブランドごとの靴型に合わせて製作するため、同じ形状の靴を大量に生産することが可能です。

一方、3Dプリンターを用いると、設計図のCADデータを調整するだけでさまざまな形状の靴を製作できます。一人一人の足のサイズに合わせたオーダーメイドの靴を高精度で製作することも可能です。また、靴全体、あるいは一部分だけを3Dプリンターで製作する事例や、靴型だけを3Dプリンターで製作し、従来通りの素材や工程を用いる事例も見られます。

自由なデザインを実現できる

3DプリンターはCADデータを基に、一層ずつ樹脂材料を積層し、製品を作り出します。これにより、従来の靴とは異なる材料での製作や、通常の製作方法では実現できない構造の靴も製作できます。単に見た目が違うだけでなく、素材や構造の違いを利用して、これまでにない新機能を生み出すことも可能となりました。

3Dプリンターを用いて靴を製作すると製作時間を大幅に短縮できるため、試作品の製作も迅速に行えるようになります。また、3Dモデル上で靴の形状のパラメータを変更してデザインを変える「パラメトリックデザイン」と呼ばれる手法を用いると、多種多様なデザイン案を自動的に生み出せます。従来の方法では製作困難な形状でも、3Dプリンターなら製作可能な場合もあり、デザインの幅がさらに広がるでしょう。

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3Dプリンターを活用したシューズ製作の事例

多くのシューズメーカーが3Dプリンターで製作したシューズの販売を行なっています。シューズ製作の事例と、3Dプリンターを用いて実現できた機能やメリットについてご紹介します。

アシックス

アシックスは、3Dプリンターを用いた新たな製作方法を取り入れたサンダル「ACTIBREEZE 3D SANDAL」を開発しました。競技やトレーニングを終えたアスリートが身体を休める際に履くことを想定し、通気性やクッション性が高い設計に仕上げています。サンダルは全体が格子構造になっており、パラメトリックデザインの手法を用いて、格子の向きや大きさ、密度などを調整してサンダルの硬さを変化させています。

アディダス ジャパン

アディダス ジャパンは、3Dプリンターで製作したミッドソールを搭載したランニングシューズ「4DFWD 2」シリーズを販売しています。3Dプリンターで製作されたミッドソール「adidas 4D」は、「FWD CELL」という蝶ネクタイ型の格子で構成され、垂直方向の衝撃に対して前方に押し出す反発力を生み出す特殊な構造を持ちます。これにより、着地時にかかるブレーキ力を抑制し、前進する力に変換するという特性を実現しました。

crossDs japan

crossDs japanは、オーダーメイド3Dシューズブランドの「AYAME」、「菖蒲」を展開しています。「AYAME」ではパンプスやショートブーツ、ブーティーを、「菖蒲」では革靴やスニーカーを提供しています。同ブランドの特徴は、ユーザーの足を3Dスキャンして、専用の靴型を3Dプリンターで製作していることです。その靴型を基に従来の工程で靴を製作するため、既存品と同じ素材を使いながらも、一人一人の足にピッタリ合った靴を製作できます。

3Dプリンターでシューズ製作の幅が広がる

3Dプリンターをシューズ製作に活用することで、少量多品種の製作がしやすくなり、オーダーメイドの靴を高精度に作れるようになります。3Dプリンターは樹脂を一層ずつ積層させて造形するため、従来のシューズ製作の工程では実現できない構造や機能を持たせることもできます。

既に多くのシューズメーカーが3Dプリンターによる製作に取り組んでおり、靴全体を3Dプリンターで製作する例や、靴型のみを3Dプリンターで製作する例など、さまざまな事例が見られます。各社さまざまな工夫を施しているため、興味を持たれた方は、ぜひ一度購入し、履き心地を試してみてはいかがでしょうか。

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