ホーム3Dプリンター3Dプリンター向けCADソフトの選び方や注意点を解説

3Dプリンター Insight

3Dプリンター向けCADソフトの選び方や注意点を解説

レンテックインサイト編集部

3Dプリンター Insight 3Dプリンター向けCADソフトの選び方や注意点を解説

3Dプリンターを用いた製作を行うとき、製作物の設計図となる3Dデータが必要となります。本記事では、3Dデータ製作に必要なCADソフトの種類や、CADソフト選定時の注意点について解説します。

3Dプリンター用データを準備するには

3Dプリンターで造形するには、最初に3DCADソフトで3Dモデルのデータを製作します。それを3Dプリンターで出力できるSTL形式やOBJ形式のデータに変換し、3Dプリンターで出力という流れとなります。機械設計向けの3DCADソフトを用いると精密なモデリングが可能です。

3DCADソフトとは

CAD(Computer Aided Design)とは、コンピューターを用いて製作物の設計を行うソフトウエアのことです。特に立体物の設計に用いるソフトウエアを3DCADと呼びます。3Dプリンター用データを製作するには、機械設計向けの3DCADソフトを用いることが多いでしょう。代表的な3DCADソフトには、操作性が良く企業での導入が多いSolidWorks(SolidWorks社)、2DCADとして高いシェアを誇るAutoCADデータが利用できるInventor(Autodesk社)などがあります。

これらの3DCADソフトを用いると、ソリッドモデルと呼ばれる3Dデータを製作できます。ソリッドモデルとは閉じられた形状で中身の詰まった3Dモデルのことで、3Dプリンターによる製作で一般的に用いられます。細部の寸法合わせや造形物の体積、重心の確認もソフトウエア上でできるため、精密なモデリングが可能です。

3Dプリンターで扱うデータ形式

3DCADソフトで製作したデータは、STL形式やOBJ形式と呼ばれるデータ形式に変換すると、3Dプリンターで扱えるようになります。STL形式は三次元の形状をポリゴンと呼ばれる三角形の集まりで表現します。OBJ形式は形状に加えて色やテクスチャなどの情報も持つため、カラープリントが可能となることがメリットです。

三次元の形状を三角形で表現する理由ですが、三角形は3点の座標で表現でき、ほかの三角形の2点に一つの座標を追加するだけで別の三角形が作れます。したがってデータ量が少なく扱いやすくなります。4点以上の座標を持つ多角形で表現しようとすると、各点の座標が同じ平面上に載らないこともあるため扱いにくいのです。

3Dプリンター Insight サーキュラーエコノミーの三原則

CADソフト選定時の注意点

3DCADソフトを選定する際に確認すべき内容として、3Dプリンターに適したデータ形式での出力機能の有無、製作物の形状、CADソフトの価格と機能について解説します。

3Dプリンターに適したデータ形式での出力機能の有無

STL形式やOBJ形式など、3Dプリンターに適したデータ形式の出力が可能であることを確認しましょう。OBJ形式は対応していない場合が多いため特に注意してください。対応していない場合、データ形式を変換する別のソフトウエアを用意する必要があります。業務で取引先とデータの受け渡しがある場合などは、対応するデータ形式であるか確かめておきましょう。

製作物の形状

3DCADは精密なモデリングが可能で、工業製品や部品のような製作物に適しています。一方で、フィギュアのような曲面が多い製作物は、アニメーション向け3Dデータの製作などに用いられる3DCGソフトが使いやすいでしょう。ただし、3DCGソフトは内部が空洞で表面形状のみを表したサーフェスモデルを製作する用途であることが多いです。そのため部品間の干渉チェックに対応していないなどの不便さがあります。

また3Dプリンターで出力するには、中身の詰まったソリッドモデルへ変換する機能が必要です。代表的な3DCGソフトであるBlender(Blender社)は、ライセンス料が無料でありながらも機能は豊富。完全な立体にする「穴閉じ」、モデルに厚みを付ける「ソリッド化」にも対応しています。

CADソフトの価格と機能

3DCADソフトの価格帯は有償から無償のものまで幅広く、選択肢は豊富にあります。有償のソフトは設計ミスを防ぐチェック機能や、強度シミュレーションへの対応などさまざまな機能を持ちます。しかし導入費用が数百万円であったり、年間ライセンス料金が数十万円であったりなど、個人での導入が難しいソフトも多いです。

非商用であれば無償で使用できる3DCADソフトもあります。個人の趣味で作る範囲なら無償ソフトで十分な場合も多いでしょう。3DCADソフトInventorの開発元であるAutodesk社は、非商用利用なら無償で使用できるFusion 360を提供しています。無償でありながらも機械設計が可能で豊富な機能を持つため、3DCADソフトを触ってみたいという方にもおすすめです。

求める機能に合わせたCADソフトを選択

3Dプリンターを扱う際は、3DCADソフトを用いて適切なデータ形式の3Dモデルを用意する必要があります。精密な製作物を作るには機械設計向けの3DCADソフトが適しており、STL形式やOBJ形式のデータに変換して3Dプリンターで印刷します。必要なデータ形式、製作物の形状など、用途に応じて必要な機能を満たすCADソフトを選択してください。無償利用可能でありながら機能が豊富なCADソフトもあるため、初心者の方でも始めやすいでしょう。

3Dプリンター Insightの他記事もご覧ください

Prev

Next