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3Dプリンター Insight

サーキュラーエコノミーにおいて3Dプリンターが果たす役割

レンテックインサイト編集部

SDGsへの意識が高まるとともに、サステナブルな社会作りに向けて、消費者や企業が動き始めています。その中でも、サーキュラーエコノミーの実現は注目されており、最新技術の積極活用により、現実的なものとなってきました。

この記事では、そんなサーキュラーエコノミーの概要と、3Dプリンター技術がどのような役割を担うのかについてご紹介します。

サーキュラーエコノミーとは

サーキュラーエコノミー(循環経済)は、私たちの経済活動において発生している廃棄物を利用可能な「資源」とみなし、有効活用することで循環型の社会を構築する取り組みです。

廃棄物は利用価値が低く、新しい資源に取って代わることはありえないものでした。しかし再利用を前提とした生産や消費の仕組みを整備することで、廃棄物も再利用ができる、新しい経済システムを構築可能です。

「資源の採掘・抽出→製造→消費→廃棄」というプロセスに手を加え「資源の採掘・抽出→製造→消費→再利用(資源の抽出)→製造」とできるようになった状態がサーキュラーエコノミーの姿といえます。

リサイクルやリユースとの違い

廃棄物の再利用と聞くと、これまでもリサイクルやリユースといった取り組みが行われてきたため、目新しくは聞こえない人もいるでしょう。リサイクルやリユースは、発生した廃棄物を「どうすれば利用できるか?」という問題提起を前提とする取り組みのため、どうしても捨てざるをえないものが出てきてしまいます。

一方でサーキュラーエコノミーは、そもそも廃棄物を「生み出さない」ことを前提としています。原材料や製造過程に工夫を加え、廃棄物をゼロにできる、あるいは製造過程で持て余したものは再度製造プロセスに再利用できる仕組みを指します。

サーキュラーエコノミーの三原則

サーキュラーエコノミーには、理想的な経済活動を実現するための三原則が掲げられています。

  1. 廃棄物と汚染を生み出さないデザイン(設計)を行う
  2. 製品と原料を使い続ける
  3. 自然システムを再生する

「1.廃棄物と汚染を生み出さないデザイン(設計)を行う」は、廃棄物が発生しない、あるいは製造過程で地球環境などを汚染しないデザインを行うことを求めるものです。廃棄物をゼロにするだけでなく、製造過程で環境に負荷を与えないことが重視されています。

「2.製品と原料を使い続ける」は、製造したものがすぐに廃棄されてしまうことのない、質の高いものであったり、余剰の原料は廃棄ではなく製造過程に再利用できたりすることを求めるものです。

「3.自然システムを再生する」は、地球環境の回復に貢献できる技術であることを求めるものです。有限の自然資源の回復につながるような、負荷の小さい経済システムを備えていなければなりません。

これらの三原則を満たす技術が、サーキュラーエコノミーの完全な実現には欠かせないのです。

サーキュラーエコノミーにおいて3Dプリンターが果たす役割

サーキュラーエコノミーを実現する上では、最新技術の積極的な投入が欠かせません。中でも重要性が高い技術として注目されているのが3Dプリンターです。3Dプリンターの活用によって、極めて合理的な製造プロセスの実現が可能です。

3Dプリンターは、まず廃棄物の発生しない部材の生成が可能な点が評価されています。従来の工法とは異なり、データを用意するだけで複雑な部材も簡単に生成できるため、端材などが出ることはありません。

また、原材料としてリサイクル素材を用いることも可能です。従来工法と比べて汎用性の高い技術であることから、幅広い領域での活躍も期待できます。

3Dプリンター単体でサーキュラーエコノミーを実現することは難しいですが、その大きな足がかりとなる技術であることは間違いないでしょう。

3Dプリンターがサーキュラーエコノミーの実現に貢献している事例

ここで、3Dプリンターが実際にサーキュラーエコノミーの実現に貢献している事例について解説します。廃棄物を3Dプリントの原材料として再処理するプログラムや、環境負荷の小さい資源である土を使った3Dプリントなど、世界では多くの取り組みが進められています。

廃棄物を回収し3Dプリントの原材料として再処理するRobozeのプログラム

アメリカのRoboze社は、顧客から同社に返却された廃棄物や、3Dプリントで生産され寿命を迎えた製品を回収することで、3Dプリントの原材料として再処理する技術を開発しています。

これにより原材料を従来よりも低価格で調達できるだけでなく、廃棄物の総量を減らし、環境保全に役立てられることが期待できるでしょう。

バージニア大学の土を使った3Dプリント構造物

アメリカのバージニア大学では、土を使った3Dプリントの研究が進んでいます。同大学では土に植物の種子を埋め込んだ3Dプリント用の素材を開発し、土と種子による3Dプリントを可能にしました。

土を使って堅牢な建物を建てたり、将来的には植物を成長させ、建築物の緑化で環境負荷の小さい建築を実現したりすることが期待されます。

最新技術の積極導入でサーキュラーエコノミーの実現を目指そう

この記事では、サーキュラーエコノミーの概要や3Dプリンターが果たす役割について解説しました。

サーキュラーエコノミーの実現は、サステナブルな社会作りにおいて重要な取り組みです。しかし、このような経済システムを既存の技術だけで実現することは難しく、3Dプリンターのような最先端技術を積極活用し、実現に向けて動くことが求められます。

3Dプリンターの汎用性は徐々に高まっており、今後はより広い領域で活躍できる技術となるでしょう。早い段階から3Dプリンターへの理解を深め、試験的に取り入れる取り組みも大切です。

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