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3Dプリンター×AIで何が実現できるのか?

レンテックインサイト編集部

3D Insight 3Dプリンター×AIで何が実現できるのか?

3DプリンターとAI技術を組み合わせたソリューションが、昨今の3Dプリンター市場で注目を集めています。新たなものづくりの形を示した3Dプリンターは、AI技術を組み合わせることでさらなる進化を遂げつつあり、各所から期待が寄せられている状況です。

本記事では、AIにできることをあらためてご紹介した上で、3Dプリンター×AIでどのようなことが実現できるのかを解説します。

AIにできることは?

まずは、AIがどういったものかをおさらいしておきましょう。

AIは人間の持つ知能を人工的に再現する技術であり、与えられたデータをもとに学習することで、人間と同じように物事を推測したり、判断したりできます。AIの学習には、機械学習やディープラーニングといった手法を採用するのが主流です。AIが膨大なデータを読み解きながらルールや相関関係などの特徴を発見し、それらを元にして推測や判断を行うという仕組みになっています。

ひと昔前までのAIには人がデータの特徴を教え込む必要があったため、データ分析の専門知識を持つ人材がいなければAIをうまく活用できませんでした。しかし、昨今の技術開発によってそのプロセスも自動化できるようになった結果、AIはあらゆる用途で活用され始めています。代表的なAIの用途は次の通りです。

  • 画像認識
    顔認証システム、OCR(文字認識)、品質検査など
  • 音声認識
    文字起こし、音声アシスト、音声による機器操作など
  • 自然言語処理
    通訳、翻訳、文章の自動生成など
  • 制御
    家電製品・設備・ロボットの制御、自動運転など
  • 予測・分析
    レコメンド機能、需要予測、故障予測など

3D Insight 3Dプリンター×AIで何が実現できるのか?

3Dプリンター×AIでできること

AI技術は、3Dプリンターの市場でも存在感を増しています。AI技術を活用した機種やサービスが次々に登場しており、3Dプリンターの価値を高めている状況です。

3Dプリンターの課題としては、「品質がバラつきやすい」「高精度な造形ができない」「コストが高い」といった内容がよく挙げられます。しかし、AI技術を組み合わせることでこれらの課題が解消されれば、より多くの企業が3Dプリンターを活用するようになるでしょう。

現状、3DプリンターにおけるAIの用途は次の三つに大別できます。

  • 設計データの自動作成
  • パラメーターの自動調整
  • 造形中の自動制御

それぞれどういった内容なのかを見ていきましょう。

設計データの自動作成

AIはさまざまなパターンの設計データを自動で作成できます。AIが作成した設計データを3Dプリンターで製作することで、製品開発の高速化が可能です。

例えば、自動車メーカーのフォルクスワーゲンは、他車種のパーツ形状や強度などをAIに学習させて最適なデザインを作成し、3Dプリンターで製作する取り組みを行っています。実際に、同社はステアリングホイール・サイドミラーサポート・ホイールをこの方法で製造したと発表しており、大きな話題を呼びました。

ほかにも、ユーザーが作りたい製品のイメージ画像をAIが解析し、設計データを自動作成することで、似た製品を3Dプリンターで製作できるサービスも存在しています。こういったサービスが広まれば、誰でも簡単にものづくりができる時代になっていくでしょう。

パラメーターの自動調整

3Dプリンターでのものづくりは、設計データを与えればその通りに造形できるわけではありません。材料の収縮や反りなど、造形品質に影響するさまざまな要素を考慮しながら微調整する必要があり、熟練技術者のノウハウが求められます。

AIを搭載した3Dプリンターは、過去の造形結果をもとに学習することで設計データの寸法やパラメーターを自動で調整できます。設計した通りの製品を作るために微調整を繰り返す必要がなくなるので、コスト削減に繋がるでしょう。また、熟練技術者に頼った属人的なものづくりから脱却することができ、ノウハウが目に見えるデータとして蓄積されていきます。

造形中の自動制御

AIを搭載した3Dプリンターは、造形中の動作を自動で制御して造形品質を高めることもできます。例えば、カメラで撮影した造形物を画像認識によって設計データと照合し、もし欠陥があればすぐにパラメーターを調整してその場で修正する技術が開発されています。

3Dプリンターによるものづくりのコストを削減するためには、できる限り不良品を作らないようにして材料や工数のロスをなくす必要があります。造形中に欠陥に気づき、すぐに修正をかけられるようになれば、不良品の発生に伴うコストを大幅に削減できるでしょう。また、3Dプリンターの用途は試作品が中心ですが、造形品質が安定すれば量産化もしやすくなると考えられます。

3Dプリンター×AIでものづくりはさらに進化する

3DプリンターとAIはこれからの時代に欠かせない技術であり、組み合わせることで相乗効果を生んでいます。AI技術を組み合わせることで、3Dプリンターはより素早く、より高精度に造形できるようになっていくでしょう。3DプリンターもAIもまだまだ発展途上の技術でもあるので、さらなる技術の進歩に期待したいところです。

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