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3Dプリンターに欠かせないサポート材とは?

レンテックインサイト編集部

3Dプリンター Insight 3Dプリンターに欠かせないサポート材とは?

3Dプリンターを活用する上で必ず押さえておきたいのが、サポート材の適切な使い方です。サポート材は3Dプリンターで造形する製品のコストや品質に大きく影響します。サポート材に関する正しい知識を身につけて、3Dプリンターを効果的に活用できるようにしましょう。

本記事では、3Dプリンターに欠かせないサポート材の基礎知識として、サポート材が必要になる形状の特徴や、適切な使い方などを解説します。

サポート材とは?

3Dプリンターでは、製品を構成するモデル材と製品を支えるサポート材の二つを組み合わせて造形します。サポート材は製品の土台や足場となる材料であり、積層造形によって立体物を構築する3Dプリンターにとって欠かせない存在です。

例えば、ワイングラスのような製品を作ろうとした場合、最初はモデル材を下から積み上げていけばよいですが、途中から空中にモデル材を積み上げなければならなくなります。そのままモデル材を噴射しても、下に落ちてしまって造形できません。しかし、サポート材を下から積み重ねて土台をつくっておけば、その上にモデル材を積み重ねることでワイングラス形状を実現できます。

サポート材で作られたところは製品ではないので、造形が終わってモデル材が固まった後に除去することになります。除去する方法は、水や熱で溶かす、溶剤で溶かす、手作業で取り除くなど、サポート材の種類によって異なりますが、何らかの後処理が必要です。3Dプリンターを導入する際には、サポート材の特性や除去方法についても把握しておきましょう。

サポート材が必要になる形状とは?

サポート材は3Dプリンターでの造形時に必ず必要になるわけではなく、製品の形状によってはサポート材による支えがいらずモデル材だけで造形できる場合もあります。

ここでは、サポート材が必要になる形状を三つご紹介します。いずれかに該当する場合は、サポート材を使う前提で造形方法を検討しなければならないので、覚えておいてください。

●オーバーハング

オーバーハングとは、簡単に言うとアルファベットのTやYのような形状です。TやYの上部はサポート材がないとモデル材を積み上げられなかったり、自重で崩れてしまったりします。
ただし、Y形状は二股に別れる部分の角度によってはサポート材が不要なケースもあります。一般的には、45度以上になるとサポート材が必要とされていますが、機種や材料によって異なるためメーカーに確認しましょう。

●ブリッジ

橋やアルファベットのHのように、中央部分が空中に浮いている形状もサポート材が必須です。中央部分を支えるためにサポート材を下から積み上げていかなくてはなりません

●穴・空洞

製品の側面に穴が空いていたり、内部に空洞がある場合もサポート材が必須です。造形時にはサポート材で埋めておき、造形後に除去することで穴や空洞が完成します。

サポート材の課題

3Dプリンターによる造形に欠かせないサポート材ですが、いくつか課題もあります。

例えば、サポート材も材料の一部であるため、使用量がコストに大きく影響します。モデル材に比べると安価ではありますが、モデル材よりサポート材の使用量が多くなることもよくあるため、無視はできません。そもそも、サポート材は本質的にはムダな材料なので、出来るだけ使用量を減らすべきです。また、サポート材の使用量が多いと後で除去する際の手間が増えるため、作業コストの増加にも繋がります。

さらに、サポート材の使い方は製品の品質にも大きく影響します。例えば、サポート材を少なくして支えが不十分になると、製品の形状が崩れて不良品になります。反対に、サポート材を使いすぎるとうまく除去できずに破損してしまったり、表面が粗くなったりしてしまうのです。3Dプリンターの造形品質を安定させるためには、サポート材の使用量や土台形状を適切に調整する必要があることを覚えておきましょう。

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サポート材を最適に使うためのポイント

3Dプリンターで造形する際には、使用量を極力少なくしつつ、支えとして十分な機能を持つようにサポート材を設置しなければなりません。サポート材を最適に使うためには、いくつかのポイントがあるのでご紹介します。

●向きを変える

最も単純かつ効果的な方法が、製品を造形する向きを変えることです。例えば、オーバーハングの例で紹介したT形状はそのまま造形するとサポート材が必須ですが、180度回転させて造形すればサポート材が不要になります。3Dプリンターの機種によっては、サポート材が最小になるように向きを自動で変える機能が付いているものもあります。

●サポート材の密度を小さくする

サポート材の密度を小さくすれば、その分の材料費を削減できます。また、サポート材の除去がしやすくなるので、見栄えもよくなるでしょう。ただし、あまりにも密度を小さくすると支えとして十分に機能しなくなる恐れがあるので、注意が必要です。

●分割して作る

製品を複数に分割して作ってから接合する方法も有効です。例えば、ブリッジ形状の製品を中央で分割すれば、サポート材を使わずに造形できます。後で接合する手間はありますが、製品に強度が求められない場合には効果的な手法です。

サポート材を使いこなして3Dプリンターを最大限に活用しましょう

サポート材の適切な使い方を知っているかどうかは、3Dプリンターで作る製品の品質やコストに大きく影響します。本記事でご紹介した知識を踏まえつつ、試行錯誤を繰り返してサポート材をうまく使いこなしましょう。

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