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再生医療に貢献するバイオ3Dプリンターとは?

レンテックインサイト編集部

3Dプリンター Insight 再生医療に貢献するバイオ3Dプリンターとは?

バイオ3Dプリンターと呼ばれる技術が、再生医療を始めとする医療の分野で期待されています。3Dプリンターの技術は、いまや生きた細胞すらプリントできるレベルに到達しており、今までにない医療の形を実現できるようになりました。本格的な普及はまだ先ですが、各所で研究開発が進んでおり、日本企業も存在感を発揮しつつあります。

本記事では、先端技術として注目を集めるバイオ3Dプリンターの仕組みや用途を解説します。

バイオ3Dプリンターとは?

バイオ3Dプリンターとは、一般的な3Dプリンターで使用される樹脂や金属ではなく、有機物を噴出して形を作る3Dプリンターです。細胞などを積み重ねて、生体に近い立体的な組織や臓器を作り出す先端技術となっています。

3Dプリンター自体は1980年代に考案されたそれなりに歴史のある技術ですが、バイオ3Dプリンターは2010年頃に登場したまだまだ新しい技術です。3Dプリンターのさらなる可能性を広げる技術として、医療業界を中心に期待されています。

バイオ3Dプリンターの仕組み

樹脂や金属を使う通常の3Dプリンターと同様に、バイオ3Dプリンターでも積層造形によって組織や臓器を作り上げるのが一般的です。しかし、ただ単に細胞などを噴出して重ねていくだけでは時間が経つと崩れてしまうため、用途が限られてしまいます。そこで、積層造形してから形を保つためのさまざまな方法が、各メーカーによって開発されてきました。

最も一般的なのは、スキャホールドと呼ばれる足場を作り、そこに細胞を噴出して目的物を造形する方式です。スキャホールドには生分解性材料が使用されていますが、細胞ではない異物が残ってしまうという課題があり、改善が望まれていました。

そこで日本のベンチャー企業は、剣山のような極めて微細な針に細胞を刺しながら造形する独自の技術を開発しています。造形が終わった組織や臓器がある程度固まったら針を抜きますが、特殊な技術によって針を抜いた後の穴が自然に埋まるため造形物が崩れず、異物が残留するリスクを低減できる点が特長です。

他にも、日本の大手プリンターメーカーはインクジェットプリンターのようにノズルから細胞を噴出して積層していく技術を発表しています。この技術は、細胞を特殊なインクと混合させたバイオインクを作り、それを一層ずつ積み上げていくという方式であり、以前から存在はしていました。同社はプリンターの構造や吐出条件を見直し、プリンターヘッドで細胞が詰まってしまうリスクや細胞にダメージを与えてしまうリスクを軽減することに成功しています。

日本企業が開発したこれらの技術は、本格的な実用化に向けて研究が続いています。どちらも高い成果を挙げているため、バイオ3Dプリンター市場の拡大を牽引することが期待できます。

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バイオ3Dプリンターの用途

バイオ3Dプリンターは近年で登場した新しい技術ですが、すでにさまざまな分野での活用が始まっています。いくつか例を見てみましょう。

まず挙げられるのが、再生医療です。現状、再生医療で実用化段階にあるのは、皮膚などの単一の細胞をシート状に培養したものであり、立体的な構造を作るレベルには至っていません。しかし、バイオ3Dプリンターであれば骨や血管、神経といった立体的な組織や臓器を造形できます。実際に、バイオ3Dプリンターで作った人工血管を人へ移植したり、神経や骨軟骨を再生したりする臨床試験がすでに日本で行われています。日本はさまざまな細胞に分化することが可能なiPS細胞(人工多能性幹細胞)の研究も盛んであるため、バイオ3Dプリンターとの組み合わせで再生医療の可能性が広がるかもしれません。

次に挙げられるのが、創薬の分野です。バイオ3Dプリンターで作った組織や臓器を使って薬剤の毒性や副作用をテストしたり、効果を測定したりすることで、動物実験を行わずに新しい薬の開発が進められます。実際の人の組織や臓器に近いものを使って開発ができるため信頼性が高く、急速に成長している分野です。

上述した再生医療と創薬がバイオ3Dプリンターの主な用途ですが、それ以外に珍しい用途もあります。例えば、バイオ3Dプリンターを使って人工肉を作る研究や、人工サンゴを作ってサンゴ礁を復活させようとする研究が行われており、どちらも深刻化する気候変動問題への対応策として期待できるものです。

バイオ3Dプリンターの技術はまだまだ発展途上であり、技術が確立されて普及する過程で新しい用途が見つかっていくでしょう。日本企業も存在感を発揮しているため、今後の研究開発に期待したいところです。

バイオ3Dプリンターは進化を続けている

3Dプリンターにはまだまだ進化する余地があり、本記事でご紹介したバイオ3Dプリンターはその典型例といえます。バイオ3Dプリンターにもいくつか課題が残っていますが、医療の分野を中心に大いに期待されており、本格的な実用化が待ち望まれている状況です。バイオ3Dプリンターも含めて、3Dプリンターの今後に注目していきましょう。

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