3Dプリンター Insight

ラピッドプロトタイピング/アディティブマニュファクチャリングが製造業にもたらすもの

レンテックインサイト編集部

3Dの技術が製造業に大いに貢献する例として挙げられるのがラピッドプロトタイピング/アディティブマニュファクチャリングです。数十年前から同技術の研究は進められてきましたが、近年の3Dプリンターの高度化・普及を背景にさらなる市場の成長が予測されています。
本記事ではラピッドプロトタイピング/アディティブマニュファクチャリングの概要や違い、製造業にもたらすメリットについて解説いたします。

ラピッドプロトタイピング/アディティブマニュファクチャリングとは

ラピッドプロトタイピング(RP:Rapid Prototyping)は3Dの技術を用いて試作品を短時間で制作するものづくりの手法です。CADやスキャナで制作した3Dデータを金属や樹脂といった素材を積み上げて形にします。
造形に用いられるのは光造形機や粉末焼結機といった3Dプリンター(RP機)で、その造形法には以下のようにさまざまな方式が存在します。

  • 光造型法
  • 粉末燃結法
  • インクジェット法
  • シート積層法
  • 押し出し法

ラピッドプロトタイピングは試作品の製造だけでなく、射出成型鋳造に用いられる型や治具を簡易に製作するラピッドツーリング、最終製品をそのまま製造するラピッドマニュファクチャリングへとその範囲を広げ、高度化してきました。
そのような状況を踏まえ、積層造形によるものづくりを総称して近年使われるようになったのがアディティブマニュファクチャリング(AM:Additive Manufacturing)です。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の技術戦略研究センター(TSC)は、アディティブマニュファクチャリングの市場規模は2030年には3兆円を超えると予測しています。

ラピッドプロトタイピング/アディティブマニュファクチャリングのメリット

ここで、ラピッドプロトタイピング/アディティブマニュファクチャリングのメリットについて細かく見ていきましょう。

リードタイムの大幅な短縮

まず挙げられるのは試作品や最終製品の製造までにかかるリードタイムを大幅に短縮できるというメリットです。型や模型を一から作っていた場合には数週間かかっていた工程をラピッドプロトタイピング/アディティブマニュファクチャリングにより数日あるいは数時間で終えることが可能になります。
また、製造を3Dプリンターに任せられる事によって、人間の手間や時間を削減でき大幅な生産性向上や働き方改革にもつながると考えられます。

少量多品種生産に適している

積層造形方式による製造は、さまざまな形を同じ方式により造形できる自由度が魅力の一つです。複雑な形状であっても加工の熟練度は問われず、またいちいち治具や工具を集める手間は必要ありません。軽量化を行うことも容易であり、材料費と加工費を削減することでコストを抑えることにもつながります。
これらの特徴は近年顧客ニーズの多様化に伴い高まる多品種少量生産の需要トレンドに合致したものといえます。製造コストや一度に作れる量の制約から大量生産に向かないという3Dプリンターの性質も少量多品種生産ならばうまく合致するはずです。

製造のPDCAサイクルを素早く回せる

製品・試作品を短期間で形にできるということは、実際の質感や形にしなければ分からない問題点をすぐに確認できるようになるということです。設計図やCAE・CATによるシミュレーション/検査といった手法でも気づけないような情報を得るには、実際にそのものを作ってみるしかありません。特に複雑な形状や質感を持った製品の試作において大きな効果を発揮するでしょう。
また、顧客に製品をプレゼンテーションする際、モックアップや実物があれば、話が格段にスムーズに進むという効果も期待できます。

ラピッドプロトタイピング/アディティブマニュファクチャリングの事例

ラピッドプロトタイピング/アディティブマニュファクチャリングを実際のものづくりに活用している事例として興味深い事例があります。

中国深センに本社を構えるハードウエアメーカー支援企業HAXは、“プロトタイプシティ”と称される同都市において、製品の製造に積極的にラピッドプロトタイピング/アディティブマニュファクチャリングを取り入れていることで知られています。例えば遠隔医療で用いられるロボットのパーツのような精密な部品を3Dプリンターで一気に作り出すことも。
深センにはこのような3Dプリンター活用企業、あるいは3Dプリンターメーカーがひしめきあっており、3Dプリンターのメッカと呼ばれることもあるそうです。

自動車部品の鋳型鋳造に従事する神奈川県小田原市の株式会社コイワイもラピッドプロトタイピングに3Dプリンターを活用した企業の一つです。鋳造に用いる砂型の作成に3Dプリンターを活用することで試作工程が大幅に短縮できたといいます。

同社が3Dプリンターの導入を決めたのは2007年のこと。3Dプリンターの性能がより高まった現在、より多くの企業が3Dプリンターの活用により効果を得られる可能性があります。

3Dプリンターが作るラピッドプロトタイピング/アディティブマニュファクチャリングの可能性

製造のスピードを加速させるラピッドプロトタイピング/アディティブマニュファクチャリングについてご紹介しました。
3Dプリンター市場の成長・一般化とともにその可能性はどんどん広がっています。
常に知識をアップデートすることで、活用の道がより開かれます。

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